<span itemprop="headline">蓮糸恋慕曼荼羅</span>
この新作歌舞伎は国立劇場の脚本募集の入選作。長年、映画・芝居の虜になられていた森山氏が中将姫の伝説を現代によみがえさせてくださいました。異母弟が姉を執拗に恋する話なのですが今の悲惨な事件をどう浄化するかを作者が考えられての御作だと感じました。
幕があがると貧しい民衆がうごめいている。パネルの色も登場人物の心情表している。琵琶の音も心にしみる。
白雪姫の継子いじめのような場面。継母が自ら姫の髪をつかんで折檻。迫力の右近。その後右近の頬に涙の筋がみえた。
いつもと違う立派な面差しの猿弥が主の継母の命令で姫を殺害しようとする。しかしそれより早く姫は察して数珠もち身を投げ出す。その後ろ姿の神々しさ。ただの美しさではない。
異母弟はとんでもない人なのだが観ているうちに人間には多少はこういう面があるなと。段治郎の柄で助かってるのか。
演出、主演の玉三郎の凄さに感服。聖女はニンではないとおっしゃる批評家もあるけれど
彼こそ日本がもっと誇ってよい文化人ではないか。
笑三郎の乳母、春猿の姫の母も姫を思う心や清い美を堪能させてくれた。
この舞台を創った全ての人に感謝!