riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">続 放射能汚染列島ニッポン、本当の恐怖はこれから(広瀬隆)</span>

【一縷の望みは電源の回復】

 原子炉や原子炉格納容器が破壊されて最悪の事態を迎える危険性は、十分に残っています。別に脅かすわけで言っているのではありません。そういう最悪の事態を想定しながら、今できることを着実にやっていく。それが必要です。

 もちろん、専門家は分かっているはずです。そして唯一の望みはやはり電源です。1号機から4号機まで外部電源がつながったという報道がありました。これは、事態改善の第一歩だと思います。

 電源をつなげて恒常的に原子炉と原子炉格納容器、そして使用済み核燃料のプールを冷却できるようにする。これができれば、最悪の事態は避けられます。

 ただし、電源が来たからと言って、そのようにスムーズに進むと考えるのは楽観的すぎます。大量の塩分が残っている中で、精密機械が果たしてきちんと機能するのか。

 また、現場には相当な放射能が降り注いでいます。その中での作業は大変だと思います。時間との戦い、放射能との戦いなんです。しかしそれをやり切らなければ、最悪の事態に向かってしまう。

【4基が一度に被害を受けた衝撃】

福島第一原発衛星写真AFPBB News

 そして、今回の事故で特徴的なのが、福島第一原発の1号機から4号機まですべて大被害を受けたということです。スリーマイル島チェルノブイリと大きく違う点がここにあります。

 4つある原子炉のうち、どれ1つとっても失敗できないということを意味しています。万が一、どれか1つの原子炉でメルトダウン再臨界が起きてしまったら、福島第一原発に誰も近づけなくなってしまいます。

 そうなれば、残りの3つの原子炉の冷却作業を行えなくなる。つまり、残り3つの原子炉もメルトダウンが避けられなくなるということです。そうなれば、人類史上空前の原子力事故が発生する危険があります。

 電源が回復して恒常的に原子炉全体を冷却できるようになる確率はどれほどでしょうか。私はかなり薄氷を踏むような作業ではないかと思っています。

 簡単に成功する確率を1基当たり50%としましょう。1つの原子炉で50%だったら、4つ全部成功させるには、2分の1の4乗ですから、6.25%の確率ということになります。

【600度でメルトダウンを起こす危険性も】

 1基80%の確率としても、4基全部成功するには41%の確率しかありません。ことの重大性がお分かりだと思います。これほどの危険性がありながら、想定外だとして今回の津波に対処できる対策を講じてこなかったのは、明らかに東電の経営幹部に責任があります。

 東電の幹部が記者会見に出て発言している姿を見て聞いて、私は本当に腹が立ちますね。それに比べて、現場で作業している人たちは命をかけて取り組んでいる。日本を救うために。現場の人たちの力を信じたいですね。いや信じるしかありません。

 ついでに厳しい見方を言えば、日本の原子力の専門家たちは炉心溶融メルトダウンは摂氏2000度を超えないと発生しないと言っていますが、フランスの原子力学者は600度を超えるとその可能性があると発言しています。そのことはかつてNHKの番組でも放送していました。

 いま福島第一原発で本当に何が起きているのかは、外からは分かりません。とにかく、現場での冷却が成功することを祈るのみです。

ところで、この福島第一原発は、1971年の3月26日に運転を開始しています。そうです。運転開始から40年が経つわけです。米国では法律で、40年経った原子炉は廃炉にすると決めている。

【設計者が退社したら廃炉にするのは世界の常識】

 ところが、日本は昨年、この原子炉を60年運転すると決めています。これも理解不能ですね。だって、考えてみてください。40年という月日をです。

 実際に原子炉が建設を始めたのは1960年代末でしょう。その頃の技術者は誰一人残っていません。とりわけ、1号機は米GE製です。そんな設計者もいない、そして図面も残っていないと聞いています。

 そんな細かい技術が分からなくなった原発を20年も延命させて運転させるというのは、狂気の沙汰ですよ。設計した技術陣がいなくなったら廃炉にするのが常識です。

 原子炉というのは非常に複雑であり、当初の設計から変えている部分もある。設計者にしか分からないことも多いのです。

 さて、私がもう1つ言いたいのは、福島第一原発のことではありません。日本にはこれと同じように怖い原発が存在しているということを、日本の国民は知るべきです。

【一番心配なのは静岡県浜岡原発

 それは静岡県御前崎市にある浜岡原発です。今回、東日本で歴史的な地震が発生しましたが、ついこの前、静岡県沖でも大きな地震が発生したでしょう。ついに始まったかと思い、心配になってしまいました。

 詳しくは『原子炉時限爆弾』をお読みいただきたいのですが、明らかに太平洋プレートの大きな変動が始まっています。それは国土地理院のデータから私のような素人が調べても明らかです。

 スマトラ島で起きた大地震、そしてチリの大地震、バヌアツで起きた地震。全部相関関係があるのです。東海大地震はいつ起きてもおかしくないと言われていますが、私が調べたデータでは、まさにその時期が近づいている。

 御前崎浜岡原発は、フィリピン海プレートユーラシアプレートに沈み込む、まさに巨大海底断層の上に立つ原子力発電所です。ここでもし巨大地震が発生したら、どうなるでしょうか。

福島第一原発とは様相が全く異なると思います。福島の場合には沖合いの深いところで発生した地震でした。

直下型地震の被害は今回とは違う】

 マグニチュード9.0と言いますが、これは、気象庁が勝手に尺度をモーメント・マグニチュードに変えてしまったために大きな数字になっただけで、実際には、従来の気象庁マグニチュードで8.4です。

 その巨大な地震エネルギーの割には、揺れによる被害はそれほど大きくありませんでした。被害の大半が大きな津波によるものでした。

 ところが、今後発生が懸念されている東海大地震の場合には、阪神大震災のような直下型になる危険性が高い。阪神大震災マグニチュードは7.3ですから、地震のエネルギーとしては今回の約45分の1です。

 それでもあれだけの被害を出したのです。しかも東海地方は4つのプレートが集まったところです。一重ではなく四重に入り組んだプレートの上に原発が立っているのです。そこで阪神大震災以上、現在予想されている揺れでその数十倍にもなる直下型地震が起きたら、どうなりますか。

 今回の福島第一原発の事故は、想定されたものですが、それを防げなかった。その責任は置いておいて、ではこれから何を学ぶかが大切です。日本中の原子炉の安全基準を一斉に見直さなければならないのは当然でしょう。

 3月15日。震災の発生から4日が経って、実は中部電力はこっそりと安全対策の引き上げを発表しています。12メートルの津波に耐えられる堤防を造るそうです。福島が5メートルですから、慌てて対策に出たことが分かるでしょう。もちろん、それで万全な対策になるはずはありません。

 しかし、堤防だけの対策で東海地震から原発事故は免れません。できるならば今すぐに原子炉を止めて、万が一の地震に備えるべきでしょう。電力不足が懸念されていますが、中部電力の火力発電所は十分にあります。

 停電よりも原発事故は、何倍どころか何百倍、何千倍も怖いということの認識が必要です。


転載元: 憲法と教育基本法を守り続けよう。