riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">ふるあめりかに袖はぬらさじ</span>


ふるあめりかに袖はぬらさじ trailer
8ヶ月ぶりの生玉三郎です。このシネマ歌舞伎のキャストとは違います。
杉村春子のお園さんを継承した玉三郎の舞台です。
シネマ歌舞伎にもなっています。
ちょっとした嘘が面白おかしく雪だるま式に大きくなっていく、現代にも良くある話ですね。
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
有吉佐和子の名作を、歌舞伎の舞台にした「ふるあめりかに袖はぬらさじ」
有吉が杉村春子にあてがきした作品。杉村では未見です。

生前、杉村は「玉三郎さんは美しすぎます。病弱の美しい亀遊さんより綺麗なお園では無理があります」と反対したが、玉三郎の舞台を観て仰天「ちゃんと玉三郎さんのお園になっています」と。
 

 
何枚もの緞帳の説明があります。
二等席で鑑賞、御園座南座に比べ二千円も高いのです!
上手すぎる玉三郎です。あの口調、目の動き、三味線と唄、目に焼きつきます。
幕末、横浜の遊郭の話だが瓦版、メディアに踊らされる悲喜劇。今もよく観る現象。作者の鋭い目に感心させられます。

私は、前回観た舞台では薄幸の遊女を、寺島しのぶが演じていました。
先日図書館で借りた寺島さんの本にもこの話が載っています。
そのときも優れて現代的な題材に感心したものです。

時は幕末、開港まもない横浜の遊郭“岩亀楼”で、一人の遊女・亀遊が自ら命を絶つ。おりから吹き荒れる尊王攘夷の嵐の中、「攘夷女郎」の伝説にいやおうなく一役買っていく芸者のお園…。

 
お園さんは病に伏せる花魁に世話をやく気のいい芸者さん、三味線弾くところなんて、もっともっととお願いしたくなります。
  
美しく儚げな花魁亀遊。恋人の藤吉がアメリカに渡って医者になる勉強をしたいと知って、「普通の娘なら遊郭に身を落としても好きな人のためにお金を作るのに、すでに女郎の身だからそれもできない。と言っても唐人を相手にするのは嫌」と嘆きます。一度唐人に身を売ると、もう日本人には相手にされないという差別。
 
唐人お吉の悲劇もあります。
お吉はハリスの元に看護婦の役割で一日だか行っただけなのに後は酒浸りになるぐらい。
 
お園さんはほとんど出ずっぱりでぼそぼそしゃべる場面も含めて膨大なせりふ。
 
大げさな話がばれて侍に殺されそうになって腰が抜けたお園さん、
 
「○○が怖くって刺身が食えるかと、独り言。○○ってなんでしたか?
 
二本差しが怖くって田楽が食えるかというのはよく聞きますが。
 
 玉三郎 シネマ歌舞伎『ふるあめりかに袖はぬらさじ』を語る
 
日本の根本的なところが、本当にある意味シニカルに描かれていて、日本の伝説というものは、ほとんどこういう風に出来上がったのではないかと思ってしまいます(笑)。本当に、近代の名作です。
 男達はみんな外に出て行くけれど、女達は廓から出ることが出来ず、外から来るものをどうやって受け入れていくか葛藤します。お園が水平線を眺めて想いをめぐらすのも、外に行けない女の物語だということなんです。
 喜劇なのか悲劇なのか、わからないところで、あれだけ楽しませながら、人間の深層心理を深く描いていきます。そして、最後にお園が女性としての本心を言う・・・不条理劇のようでありながら、非常に心情に訴える、とても素晴らしい作品です。
みどころ―――
 男達は、開国するか鎖国するか、命がけで議論していたのに、結局時が過ぎればどちらでも良くなってしまう。でも、どちらでも良くなってしまう事を女の方が先に知っているんですよね。それでも女は、どんなに苦しくても本音と建前をきちんとわきまえて、廓で商売をしていきます。
 それから、女からみた男の身勝手さが、否定するのではなく手の届かないものとして描かれています。勤皇・佐幕がばかばかしいと一面的に言うのではなくて、お園は、「あの人たちだって大変なのよ」と言って否定しません。岩亀楼の主人もいるし、お客もいる。お客の気持ちもわかるけど、主人の気持ちもわかる。その中庸をとった中でやっているんですね。
 攘夷党の連中が「あのころの華やかな攘夷党の時代終わった」と言います。政治的な建前で流れていく世の中は、その時代時代で終わっていく。しかし、建前ではない本音というのは変わらない・・・それでいて、有吉先生の独特な作風として、本音は変わらないから建前を否定するとも言わずに、建前は建前でやりましょうって(笑)。
 攘夷党の連中が、お園を納得させて帰るっていくところなんて、あれも建前ですよね。あの辺りが巧みに人間模様として描かれていて、それを暗い話にしないところが、やはり有吉先生が劇作家として素晴らしいところだと思います。
 
背が高すぎる、手が大きすぎると非難された若い頃の玉三郎丈。
 
立ち姿は八頭身の浮世絵のようでそれだけでもため息です。
 カーテンコールは2回でした。東京なら3回ぐらい?
名古屋に来てくれて嬉しいです。玉三郎美の世界展は名古屋ではないのでしょうか。残念です。
7月にはコンサートがあります、楽しみです。
 
 
幕間である女性が「○○衛門を観たとき、お化けだと思った」お化けを何回も繰り返していました。
あの方、その頃は君臨していたんですよね。私も子供だったからなぜ絶賛されるかわからなかったです。お芝居も上手いとは思えませんでしたし、美しくもなく…