riboni5235’s diary

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<span itemprop="headline">「『思いやり予算』増、なぜ? 『日本は米国の属国』説を考える」(「毎日」)──アメリカに、いつまでも、どこまでも「追従」していく世界でも異常な「属国」であっていいのか</span>

毎日新聞」1月15日付夕刊「特集ワイド 続報真相」で、「『思いやり予算』増、なぜ? 『日本は米国の属国』説を考える」と題して、日本が負担する米軍駐留経費、いわゆる「思いやり予算」について、日米関係のあり方について、普段よりも紙面を拡大して特集している。
 

 
 
最近、在日米国人でもある英語講師のリラン・バクレーさんが監督した映画「ザ・思いやり」が話題となっているという。日本が負担する「思いやり予算」について「なぜ日本はそこまでするのか」との素朴な疑問を投げかけるドキュメンタリーで、市民グループなどが各地で自主上映会を開いている。
「ザ・思いやり」については、前に当ブログでもとりあげた。
 
バクレーさんは、製作の動機について「米軍厚木基地(神奈川県)の近くに16年住んでいますが、数年前、米兵のぜいたくな生活のために日本の税金が使われていると知って驚いたんです。東日本大震災の被災地には、隣家のくしゃみが聞こえるほど壁の薄い仮設住宅に住み、ストレスを抱えている被災者がいるのにどうして? 日本は米国の属国ではないのだから、この矛盾を考えてほしい」と語る。
 
そもそも米軍駐留経費の負担については、1960年に発効した日米地位協定の24条で定められた。日本が基地や施設用地の借地料を、米国は基地の維持費や作戦の経費を、それぞれ負担するとされ、日本に人件費や光熱水費の負担義務はなかった。
だが米国は1070年代にはベトナム戦争の泥沼化などで財政が悪化し、世界的インフレも背景にして一層の負担を要求してきた。
 
そして、1978年、金丸信防衛庁長官(当時)が「思いやりというものがあってもいい」と発言、基地従業員の人件費の一部62億円を負担したのが「思いやり予算」の始まりだ。
翌年には基地建設費も負担し、施設整備費や光熱水費なども加わるようになる。
 
思いやり予算は当初、文字通り日本の自主判断で支払っていたが、91年度以降は、日米間で結ばれる「特別協定」に基づいて支払われる基地従業員の基本給や光熱水費が加わった。96年度からは、訓練場所の移転費用についても特別協定に基づいて支払うことになっていく。
現在は5年ごとに額を大きく見直している。2011~15年度は年平均1866億円を支出。日本政府は昨年、16~20年度分の減額を求めたが米側は受け入れず、逆に総額で130億円増の同1893億円で決着した。
 
ただ、日本が駐留米軍のために支出する経費は思いやり予算や借地料だけではない。15年度予算では、他にも(1)駐留関連経費(自治体に対する周辺対策費や漁業補償費など)の1826億円(2)米軍再編関係経費(普天間飛行場辺野古移転費用や米海兵隊グアム移転費用など)の1426億円(3)日米特別行動委員会(SACO)関係費の46億円--などがあり、思いやり予算と借地料を合わせると総額は7000億円を超える。
 
バクレーさんの作製した映画では、基地内のリゾートマンションのような住宅から、学校、教会、ゴルフ場、銀行、ファストフード店に至るまで、米兵が快適に暮らすための数々の施設が日本の税金で整備されていると説明する。
 
そして、米カリフォルニアの街頭で「この事実、どう思う?」とインタビューをしたところ、「(在日米兵)1人当たり1500万円? ワオ!」「国際開発に使え。その方がより平和的だ」。問われた米国人やフランス人、インド人らは驚いたり、自分のことのように憤ったりする。米ハリウッドではフランス人男性が「そこまで思いやるならフォフグラを食わせればいい」と語った。
 
日本の負担額は、米軍が駐留する国々の中でも突出している。米国防総省が、同盟27カ国が02年に予算計上した「米軍駐留に対する支援額」を独自の基準で算出、比較したところ、日本の「支援額」は44億1134万ドル(当時の為替レートで5381億円)でトップ。
次いで、ドイツが15億6392万ドル、韓国が8億4311万ドル、イタリアが3億6655万ドル……と続く。光熱水費を支払う国は日本だけであり、外国人も驚きの厚遇ぶりである。
 
昨年成立した安全保障関連法は集団的自衛権の行使という歴史的な政策転換だったが、昨年4月に訪米した安倍首相は米国議会で「夏までに成立させる」と演説。野党から「法案も提出していない段階で他国で約束するとは国民・国会無視だ」と批判が噴出した。
 
これらの安保政策は、米国の「要求」にぴたりと一致する。それを示しているのが、12年に発表された「アーミテージ・ナイ報告書」だという。「知日派」といわれるアーミテージ元米国務副長官、ハーバード大のジョセフ・ナイ氏らがまとめたこの報告書では、集団的自衛権行使に向けた憲法改正や武器輸出三原則の撤廃、特定秘密保護法の整備の必要性を強調。それに対して安倍政権は、集団的自衛権以外にも、報告書に沿ったかのように、13年の特定秘密保護法の成立や14年の武器輸出を原則解禁する「防衛装備移転三原則」の閣議決定などの政策を次々と実現した。
 
安倍首相が昨年11月に、オバマ大統領との会談で、南シナ海での自衛隊活動を「検討する」と表明したが、この「南シナ海の警戒監視」も、同報告書が触れている内容だ。また、安倍首相が集団的自衛権行使の具体例として挙げた「ホルムズ海峡での機雷除去」もある。
 
しかも驚くのは、日本政府はここまで忠実に「要求」に応えたうえに、昨年の秋の叙勲で、このアーミテージ氏に旭日大綬章を授与していることだ。
 
ジャーナリストの田原総一朗さんは「戦後の日本人にとって『日本は米国に従属しているのか』『真に独立しているのか』なんて、どうでもいいこと。それよりも最大の望みは『再び戦争に巻き込まれないこと』だった。そのための口実が憲法9条だったわけだ」「歴代政権は米国との同盟を維持しつつ、金を出したり「後方支援」をしたりしながらも、9条を盾にギリギリのところで武力行使は踏みとどまってきた」としながら次のように語る。
 
「安倍さんは『憲法を改正し、安全保障で米国に協力して同盟を強めることが、日本の安全を強化する』と考えている。一方、野党は『それは米国の戦争に巻き込まれるリスクを高める』と反対している。今後、我々はどちらの道を進むのか。それが今の日本の最大の論点であり、次の選挙で問われるべき争点です」
 
また、米国製の高価な防衛装備の購入も目立つ。例えば、新型輸送機オスプレイは、日本は18年度までに計17機を導入する計画で、16年度は4機分447億円が予算計上された。1機当たり約112億円だが、これとは別に、操縦を学ぶための米国留学や技術支援費など関連費353億円がかかるという。これらを含めれば1機当たり200億円。他にも購入が決まっている滞空型無人グローバルホーク、戦闘機F35A、新早期警戒機E2Dなどは全て米国製なのだ。
 
ジャーナリストの堤未果さんは「米政府の後ろには軍事産業や金融機関なども結びついた軍産複合体があります。米国に限らず、現代の国家はグローバル企業の利益代表としての色合いを強めており、国民の利益は優先されていない」と指摘する。「見方を変えれば、アーミテージ氏なども単なる『代理人』。私たちは誰が利益を得て、誰が犠牲になるのかを見抜く必要があります」と軍事産業の「利益優先」に危機感を示す。
 
最後に「米国追従は果たして当然のことなのか。安保関連法施行が近づく今こそ再考すべきだ」と記事を結んでいる。
 
 

 
70年代に、米国が財政難に陥ったと記事中に書いた。実は、その頃に、米国防総省内では、財政難から維持が難しいと、在日米軍基地の大半を撤退することを検討していたという。ところが「思いやり予算」によって、基地が恒常化したという。
 
安保関連法制が成立し、自衛隊の役割が拡大するなかで、「思いやり予算」を減額するよう求めたというが、逆に押し切られて増額となる。米国と同意した政府は「一層強固な日米同盟に資する内容になった」と不思議なコメントを発表した。
 

 
 
さらには、現在、日本の政府は、沖縄・辺野古の新基地建設費のすべてを日本の国民の税金で賄おうとしているのである。
 
もうここまでくると、「思いやり」なんてものではない。
日本がアメリカに、いつまでも、どこまでも「追従」していく世界でも異常な「属国」であっていいのだろうか。
 
 

 


転載元: TABIBITO