<span itemprop="headline">卑怯な日本人へ 遺作の覚悟 倉本聰さん「屋根を語る</span>
作・演出を手掛けた公演「屋根」について語る倉本聰さん=東京都内のホテルで |
「屋根」の舞台は原生林の中に建てられた開拓小屋だ。大正末期、若い夫婦の間に次々と子どもが生まれる。雨風をしのぐ小さな屋根の下、貧しくも幸せな暮らしを営む家族に荒波が押し寄せる。徴兵された息子の相次ぐ戦死、戦後復興、高度経済成長、バブルとその崩壊、IT革命。時代の奔流に翻弄(ほんろう)される一家の姿を上からずっと見守っていた屋根の視点で、戦後の家族の一つの形が描かれる。
息子の一人は広告代理店の社員になる。こんなうたい文句が登場する。<もっと使わせろ!><捨てさせろ!><季節を忘れさせろ!><流行遅れにさせろ!>。節約が善で浪費が悪だった時代は遠くなった。
「今は都会が日本全体を動かしていると思い込み、食料をつくっている生産地はないがしろにされている。コンピューターやITでは食べ物はつくれないのに…。農村はますます高齢化して疲弊してます」
「原発の核のゴミはどこも受け入れない。沖縄の基地も同じ構造です。同情はしてもそれをなんとかしようという方向には行かない。戦前生まれの僕みたいな者は、日本人がものすごく変わった、と怒りを持っています」
貧しいけれど幸せな生き方。それを倉本さんは「貧倖(ひんこう)」と表現する。貧しくて困る貧困は避けたい。でも、貧しくとも幸せな生き方はできるはずだと。本当の豊かさとは何か。倉本さんは「遺作のつもりで取り組みたい」と意気込んでいる。
問い合わせは電0570(00)3337へ。
転載元: 情報収集中&放電中