riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">「土人」と罵られた作家・目取真俊さんが語る沖縄ヘリパッド問題(1) 一番評判悪いのは大阪府警</span>

沖縄本島北部の東村高江で、米軍北部訓練場のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設が7月に再開されて3カ月が過ぎた。安倍首相は9月26日の臨時国会所信表明演説で「沖縄の基地負担軽減に力を尽くす」として年内に完成させると表明。全国から動員した機動隊員が抗議する非暴力の市民たちを力づくで排除する中で4基のヘリパッド工事が同時に強行されている。そんな中、高江の抗議行動に立つ芥川賞作家の目取真俊さんが10月10日、大阪府警機動隊員に「土人」と罵られた。目取真さんに聞いた。(整理/新聞うずみ火栗原佳子)

【関連写真を見る】 高江の工事地区の地図と抗議行動する市民と機動隊

◆機動隊の差別意識が映すもの
臨時国会所信表明演説で安倍首相自らが公言した通り、安倍政権は年内でヘリパッドを完成させるつもりです。一国の首相がなんの確信もなく言うわけがありません。また、首相がそう言ったからには、警察庁防衛省も全力をあげて工事をするはずです。

沖縄県警に加えて、大阪をはじめ東京、千葉、神奈川、愛知、福岡から約500人の機動隊が派遣されています。たかだか4、50人で対抗できるわけがありません。例えばこちらが100人集まったとしても、7、8割は団塊の世代年金生活者で、女性も多いです。それが屈強な20代、30代の機動隊員に力づくで押さえこまれて排除されたらお終いです。

機動隊を上回る人数がいないと、物理的に考えて止められるわけがありません。人が増えないことにはどうしようもないです。もし本当に「工事を止めたい」「やんばるの森を守りたい」という気持ちがあるとしたら、現地に行ってください。

しかし、残念ながら高江は遠いです。大阪からは大変だと思います。ただ、旅費がかかるのは我々も一緒なんですね。例えば自分は名護から通っていますが、ガソリン代は往復するだけで1500円、長距離を走ると2000円を軽く超えます。週1万円、1カ月で4万円。ガソリン代だけでも大変な額を、自腹を切って何とかやっています。本も読めない。仕事もできない。そういった環境の中で何年もやってきました。そうせざるをえないのです。沖縄にいたら。知らんふりするわけにいかないから。

高江の集落を囲むように、計6基のヘリパッドが作られようとしています。N4地区とN1地区はメガネのように2基ずつ、H地区、G地区はそれぞれ1基。N4地区は完成しています。

北部訓練場の約半分を返還するから、そこにあったヘリパッドをこれから使う訓練場に移設しなさいというのが返還の条件です。新しいヘリパッドが出来ないと返さない。家を借りていた人が、それを返すかわりに新しい家を作れなんて言いますか? 借りたものは返すのが当たり前です。それを平然と言うのが米軍で、それを唯々諾々と受け入れるのが日本政府です。そのために、反対する市民を力づくで押さえつけ、国家の暴力装置をフル稼働させて、やっと工事をすすめているのが現状です。

高江は、工事の現場自体は小さいですが、範囲が広いので、沖縄県警だけでは対応できません。こんな小さなヘリパッドを作るために、あんな山奥にわざわざ県外から凄まじい数が来る。異常だという感覚がなければおかしいです。辺野古の前に、まずは高江のヘリパッドを、反対運動を潰して完成させようという意気込みが、この500人という数にあらわれていると思います。

大阪府警が一番評判悪い
はっきりいって、一番評判が悪いのが大阪府警です。例えば県道で車を停めて抗議行動をしているとき、ほかの県警は窓をコンコン叩いて「開けてください」と言います。それをガラスが割れんばかりにバンバン叩いて「開けろ、バカ野郎」。人に対する扱いも暴力的です。沖縄に対する差別は、全国の中でも関西から始まっていると感じましたね。橋下徹知事になったころから、この地域が、全国に先駆けて反動化をやっているというあらわれだと思います。

私の祖父母は出稼ぎ先の大阪で結婚し、昭和5(1930)年、父が生まれました。沖縄に対する差別がひどく、「朝鮮人琉球人お断り」と店の前に張り紙がある時代です。祖父は当時、無産党の活動家で、活動をしながら琉球人差別撤廃の運動をしていました。

昭和初期、労働運動が弾圧されていく時代に大阪の地で生活し、その後、沖縄に戻っていきますが、いまの日本の政治状況の中、あの時代というものが、もう一回起こりつつあるのではないかという気がしています。ひと昔前なら口に出せないような言葉が平然とネットや街宣車で発せられるようになっています。沖縄で大阪府警が暴力的に沖縄県民を弾圧しているというのも、一つの時代のあらわれだと思います。

沖縄にヘリパッドを押し付ける、辺野古に新基地を押し付ける。それを当たり前と感じて恥じることもない。こういった日本人がますます増えていくでしょう。(つづく)


目取真俊(めどるま・しゅん)
1960年沖縄県今帰仁村生まれ。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。沖縄戦や米軍基地問題などをテーマに数多くの作品を発表。
ブログ「海鳴りの島から」http://blog.goo.ne.jp/awamori777
で高江や辺野古の抗議活動について発信している。


転載元: しあわせの青い鳥