riboni5235’s diary

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<span itemprop="headline">クロ現元キャスター・国谷裕子さんが明かす、NHKで取り上げられなかったあの「問題」</span>


新刊『キャスターという仕事』に記した、国谷裕子さんからみた報道と社会の変化。そしてフェアであるということ。

国谷さんが著書で明かした降板のいきさつ


Satoru Ishido / BuzzFeed
NHKクローズアップ現代」で23年にわたりキャスターを務めた国谷裕子さんが、著書『キャスターという仕事』(岩波新書)を出版した。クロ現の歴史を辿りながら、番組の裏側、自分の言葉で「問うべきことを問う」キャスターという仕事の意義を詰め込んだ一冊だ。
その中に、国谷さんがクロ現の降板をどうNHKから伝えられたのか、本人の言葉で綴られた一節がある。国谷さんは、NHKのアナウンサーではなく、1年もしくは3年ごとの出演契約を結んでいるキャスターだ。
NHKサイドから2016年度の契約を更新をしない、と告げられたのは2015年12月26日。この頃、クロ現は揺れていた。
その前年、2014年7月に放映された菅義偉官房長官への集団的自衛権をテーマにしたインタビューで、国谷さんは時間ギリギリまで「しかし……」と繰り返した。「そもそも(集団的自衛権の)解釈変更をしたこと」への違和感や不安をどう払拭するのか、と食い下がるように、質問を続けた。
この質問が首相官邸から不評を買った、と報道された。国谷さん自身は「それが事実はどうか私は知らない」が、「もしそうだとすれば、『しかし』という切り返しの言葉を繰り返したことが、不評を買うことにつながったのかもしれない」と書いている。
契約更新をしないと告げられる直前、2015年11月には放送倫理・番組向上機構BPO)でクロ現が特集した出家詐欺問題についての意見書が公開された。
BPO意見書やNHKの報告書では、この特集について、放映されたシーンに事実関係の誤り、隠し撮り風の映像が「事実を歪曲したもの」などと指摘された。番組の信頼に関わる”事件”だった。
NHKサイドの説明は「編成の見直しに伴い、番組をリニューアルし、キャスターを一新する」というもの。
国谷さんはこれを「想像もしなかった」と記す。

降板直前、制作現場は継続を提言していた


国谷裕子さん 時事通信
「想像もしなかった」大きな理由は、BPO意見書で揺れる11月、制作現場が次年度も国谷さんのキャスター継続を提言していたことだ。プロデューサーたちは上層部からのキャスター交代の指示に対して、リニューアル後もキャスター継続を求めていたという。
国谷さんはここ数年、「これまで以上に多角的な視点、より深い分析」を求められていると感じ、資料を読み込む量も増えていた。
「心身ともにきつくなっていた」ため、「体力や健康上の理由で、いつか自分から辞めることを申し出ることになる」と考えていた、と明かす。
現場サイドがキャスター継続を望んだにもかかわらず、突然、NHK上層部の意向で打ち切りを告げられる。その胸中は多くは書かれていないが、頭に浮かんだ場面については記述がある。
官房長官のインタビュー、出家詐欺問題ーー。
「負担を強いられている沖縄の人々を第一の視聴者」とし、「沖縄の人々の目線で取り上げていることをはっきりと伝えた」沖縄問題の取り上げ方ーー。
ケネディ駐日大使(当時)インタビューで「日本とアメリカの関係は、安倍政権の一員、それにNHKの経営委員や会長の発言によって影響を受けていると言わざるをえません」と発言したことーー。

「不寛容な空気」

2016年3月17日の最終回を前に、国谷さんはこの23年間での社会の変化の一つとして、「不寛容な空気」の浸透をあげる。
一人ひとりの個性が大切だと言いながら、組織の管理強化によって、社会全体に「不寛容な空気」が浸透していったのではないだろうか。<クローズアップ現代>がスタートしたころと比べて、テレビ報道に対しても不寛容な空気がじわじわと浸透するのをはっきりと感じていた。
淡々とした筆致に、変化への強い違和感がにじみでる。
国谷さんの信条は、フェアであることだ、という。彼女が考えるフェアとはなにか。言及している文章を拾っておこう。
わかりやすくするために、ある点を強調するために、ある部分を隠すとか、触れないとかはしない。知りえたことは隠さない。視聴者には判断材料はすべて示す。
問題を提起するとき、誰の立場にたって状況を見ているのか。自分の立ち位置を明確に示すようにしていたことだ。

クロ現が取り上げなかった問題

いまのNHKは果たしてフェアなのか。
国谷さんは、「NHK内の空気」にも変化が起きていると思うとし、こんな事実を著書の最後で示している。
社会的にも大きな議論を呼んだ特定秘密保護法案については番組で取り上げることが出来なかった。(中略)2015年の国会で最大の争点となり、国民の間でも大きな論議を呼んだ安全保障関連法案については、参議院を通過した後にわずか一度取り上げるにとどまった。
クローズアップ現代とその時代をあらためて捉え直してみたい。BuzzFeed Newsでは国谷さんにインタビューを申し込んでいる。


転載元: 情報収集中&放電中