<span itemprop="headline">クロ現元キャスター・国谷裕子さんが明かす、NHKで取り上げられなかったあの「問題」</span>
NHK「クローズアップ現代」で23年にわたりキャスターを務めた国谷裕子さんが、著書『キャスターという仕事』(岩波新書)を出版した。クロ現の歴史を辿りながら、番組の裏側、自分の言葉で「問うべきことを問う」キャスターという仕事の意義を詰め込んだ一冊だ。
NHKサイドから2016年度の契約を更新をしない、と告げられたのは2015年12月26日。この頃、クロ現は揺れていた。
その前年、2014年7月に放映された菅義偉官房長官への集団的自衛権をテーマにしたインタビューで、国谷さんは時間ギリギリまで「しかし……」と繰り返した。「そもそも(集団的自衛権の)解釈変更をしたこと」への違和感や不安をどう払拭するのか、と食い下がるように、質問を続けた。
この質問が首相官邸から不評を買った、と報道された。国谷さん自身は「それが事実はどうか私は知らない」が、「もしそうだとすれば、『しかし』という切り返しの言葉を繰り返したことが、不評を買うことにつながったのかもしれない」と書いている。
契約更新をしないと告げられる直前、2015年11月には放送倫理・番組向上機構(BPO)でクロ現が特集した出家詐欺問題についての意見書が公開された。
NHKサイドの説明は「編成の見直しに伴い、番組をリニューアルし、キャスターを一新する」というもの。
国谷さんはこれを「想像もしなかった」と記す。
「想像もしなかった」大きな理由は、BPO意見書で揺れる11月、制作現場が次年度も国谷さんのキャスター継続を提言していたことだ。プロデューサーたちは上層部からのキャスター交代の指示に対して、リニューアル後もキャスター継続を求めていたという。
国谷さんはここ数年、「これまで以上に多角的な視点、より深い分析」を求められていると感じ、資料を読み込む量も増えていた。
「心身ともにきつくなっていた」ため、「体力や健康上の理由で、いつか自分から辞めることを申し出ることになる」と考えていた、と明かす。
現場サイドがキャスター継続を望んだにもかかわらず、突然、NHK上層部の意向で打ち切りを告げられる。その胸中は多くは書かれていないが、頭に浮かんだ場面については記述がある。
菅官房長官のインタビュー、出家詐欺問題ーー。
「負担を強いられている沖縄の人々を第一の視聴者」とし、「沖縄の人々の目線で取り上げていることをはっきりと伝えた」沖縄問題の取り上げ方ーー。
「不寛容な空気」
2016年3月17日の最終回を前に、国谷さんはこの23年間での社会の変化の一つとして、「不寛容な空気」の浸透をあげる。
淡々とした筆致に、変化への強い違和感がにじみでる。
国谷さんの信条は、フェアであることだ、という。彼女が考えるフェアとはなにか。言及している文章を拾っておこう。
クロ現が取り上げなかった問題
いまのNHKは果たしてフェアなのか。
国谷さんは、「NHK内の空気」にも変化が起きていると思うとし、こんな事実を著書の最後で示している。
転載元: 情報収集中&放電中