riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

追悼橋本治氏

 数学の試験で、公式がどうしても思い出せない。ならば公式を導き直そう。作家の橋本治さんはそのやり方で満点を取ったことがあるという。「回り道を本気でやっちゃう」。創作活動に通じる心を対談で語っている
平安時代の女流文学の位置付けは、現代の少女漫画と同じ-。そんな突拍子もない直感から、枕草子を少女の話し言葉で現代語に訳した。常識外の道を回ってものにした『桃尻語訳 枕草子』はベストセラーになる
▼<夏は夜よね。月の頃はモチロン!>。読み返して、少女の言葉の説得力にうなずく。新しい公式を導くような仕事だろう
サブカルチャーに通じ、古典文学、伝統芸能から社会、経済、国際問題まで多岐にわたって論じてきた。話し言葉を駆使しながら、硬い話題をわかりやすく伝えてきた人だ
茨城県東海村の核燃料加工施設で臨界事故が起きた際には、問題は日本に原発が必要か否かではないと主張した。核心は、核を扱うことに関して、日本人に能力がないとしか思えないことだと書いている。文筆家の永江朗(あきら)さんが指摘していることだが、福島第一原発事故の後で、いっそう高く思える見識だろう
▼橋本さんが七十歳で亡くなった。幅広いテーマに本気で取り組み、膨大な作品を残してきた。書きたいことは、まだ残されていたに違いない。鋭い視線と柔らかい口調の語り部を失ったようだ。

 


私は松本清張が好きですが橋本氏が清張と三島由紀夫について書かれていたことが記憶にあります。