riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

”いってまいりますさようなら~瀬戸内晴美~”

瀬戸内寂聴全集6「遠い声」「いってまいりますさようなら」「余白の春」

 

 

金子文子の映画を観、自伝を読み寂聴著「遠い春」も読むべきと思いこの全集を借りました。


菅野須賀子と文子、二人の30と20の若い革命家の決意、最後には感銘を受けました。

その中で園芸を生業にしていた古川力作の独白という形で語られた一遍「いってまいりますさようなら」

 


獄中にあっても花の栽培方法、定価のつけ方を奉公先に進言、親に対する思いには強い感動を覚えます。。

死刑囚の獄中記は40年密封され戦後になりようやく公表。

残された家族には過酷な仕打ちをした、国や世間。

 


庶民は虫けらのように扱われ天皇とは大きな差別が…

天皇暗殺計画しただけ(事件に加わったのは3,4人だけなのにたった一度の秘密裁判で24名に死刑判決、12名が即刻死刑になりました。

 

 

 
瀬戸内寂聴全集〈6〉長篇(4)/新潮社
¥7,020
Amazon.co.jp


一日中、雨降りでした。


雨


きょうは、出かけることも控え

自宅でのんびりと過ごしました。

雨降りだね、とばかりに母のところには

茶飲み友達が、話しに来ていました。


音譜


きょう、読んだのは

瀬戸内寂聴全集の6、「遠い声」の

付録のように書かれた

「いってまいります さようなら」。


幸徳秋水、菅野須賀子と一緒に死刑にされた

「古河力作」が主人公。

「いってまいります さようなら」と言い

死刑台に向かっていったのです。


古河力作は、

須賀子の獄中手記と同様に

書き置きともいえる文章を残している。


とりわけ心に沁みるのは、

20歳の時から住み込みで働いていた

園芸店店主に宛てて書いた

園芸の改良案「定価表について」というもの。


天皇の暗殺計画に誘われた

古河力作は

この計画には消極的で

抜け出したいと考えていたが

須賀子に誘われると断れない。


公判で主義を捨てると宣言したが

死刑を免れることは出来なかった。


あせる


明治維新によって造りあげられた

憲法の第一章には


第一条

大日本帝国万世一系天皇之を統治す」

第三条

天皇神聖にして侵すべからず


これによって、大逆罪と呼ばれる

刑法第73条が設定されてくる


第七十三条

天皇太皇太后、皇太后、皇后、

皇太子または皇太孫に対し

危害を加え又は加えんとしたる者は死刑に処す」

という法律である。


この法律によって

一網打尽に反権力者を捕えることが

この裁判の目的であった。


。。。。。。。。


古河力作の書き残した定価表に

びっちりと花の名前が列挙されている。

この人は仕事熱心な善良な市民だったのだな、

と思わせる書き置きです。

おそらくは、大逆罪という法律も

知っていたのか

知らなかったのか、


「こんな大それたこと出来るわけがない

 本気で実行できるものとは

思ってもいなかったろうに、…」

瀬戸内晴美は、あとがきで書いています。