今、観るべき作・演出の鄭義信、主演池内博之、平田満「赤道の下のマクベス」
新国立劇場『赤道の下のマクベス』フォトコールから(舞台映像も公開!)
昨年の記事です。
おりしも夕刊に小さく
日本の死刑執行「改善無し」懸念 国際人権団体
アムネスティは日本の死刑執行に4人の再審請求中の死刑囚が含まれていたと指摘
親族や弁護士にも事前に知らせず、
秘密裏に死刑を執行元少年の死刑執行も問題視している。
世界的に遅れています。
この舞台脚本、演技もこの上ない出来です。
韓国で上演した時とは結末もかえています。
現代のシーンもあったそうですがこの舞台は過去の刑務所だけ、男性だけの出演、
舞台上方には絞首刑台がそびえる
今も日本は絞首刑、世界的に死刑は廃止されてるのに。
日本は冤罪(無実)が多いのに。
↓今読んでる本です。先日の「獄友」パンフにも寄稿している森さんの本です。
理不尽極まりない
韓国人、台湾人で日本兵だったとしてB・C級戦犯として処刑された人々がいることは知っていましたが、
舞台化され、生身の人間が彼らの心情を発し、
それを聞くと本で読んでいるのとは大違いです。
客席の空気が大きく動いてる。
勿論衝撃受けて泣いてる方も。
刑務所でこのような虐待を受けていたとは。
日本人としてして慙愧に堪えません。
アジア3000万人の死者を出した責任者は誰か。
最高責任者が責任取らないのは今も同じ、
現代の問題でもあります。
日本人として戦場に立たされたり捕虜虐待等の罪でのちに処刑されたこの耐えがたい苦しみ。
戦後対日協力者として村八分にあった。
B・C級戦犯の朝鮮人も批判された。
生き延びてもこの2006年まで厳しい立場に置かれていたとは
上官の命令(上官の命令は天皇の命令と同じでそむくことは出来ない、それでもやらなければよかった、そういう道はなかったのか人間の条件の梶も思い出します)で捕虜虐待
ひ弱そうな若い兵に真っ先に中国人を殺せと命令…
アジアで民衆を殺し食べ物を奪い尽くし、焼き尽くし、女性を辱めた。
特に「焼き肉ドラゴン」は感銘受けました。
今回はそれを上回ります。
日本人夫妻による南京虐殺の舞台と同様。
引用です。
独房の扉が並ぶ灰色の壁と、背後にそびえ立つ絞首台に囲まれた死刑囚用の監獄・Pホールで物語が展開していく。虫の声が鳴り響く中、明るい日差しに照らされて死刑囚たちは朝を迎える。演劇に憧れてマクベスを読む朴南星、死刑囚の身を嘆いて泣いてばかりの李文平、元日本軍人の山形や黒田、小西らは、碁を打ったり、手紙を書いたりしながらこれまでの人生や外の世界に思いを馳せていた。腹を空かせた彼らがわずかばかりの朝食を待っていると、一度無罪で釈放されたはずの金春吉が看守に連れられてやってきて……。
囲み取材には池内、平田、鄭が出席。朴南星を演じる池内は「全身全霊で、とにかく精一杯この役を演じることが第一かなと思っています」と意気込む。また台本を初めて読んだときはカフェで涙が止まらなくなってしまったことを明かし、「泣いて先が読めませんでした。そのぐらい、すごくいいお話」と本作をアピール。さらに役作りについては「瞬間をポジティブに、楽しく生きていく」を大事にしてきたと池内。「死に向かってはいるんですけど、そこまでの時間に輝いて生きていくことを意識しました」と力強く続けた。
「ちょっぴり緊張を……いやずいぶん緊張してるかな(笑)」と言う黒田役の平田は、歴史上の出来事をベースにした本作を「普通の人たちの視点に立ったお話」と分析。続けて「普通だけど個性的な人たちが悶え苦しんだり、笑ったり、バカなことをやったりする」と作品の魅力を語り、自身と池内の役どころについては「池内くんはカッコいいですが、僕はそこにくっ付いている汚いジジイ」と茶目っ気たっぷりにコメントした。また平田は登場人物が全員男性であることにも言及。「バカなことばっかりやってる彼らは男子中学生みたいで。そこがかわいく、魅力的に見えたら」と見どころを紹介した。
「ドキドキです」と胸の内を明かすのは鄭。第二次世界大戦を背景とする本作については「BC級戦犯を描いた厳しい話ですが、その中でも人と人のつながり、友情や愛情など深い人間のつながりを観ていただければ」とアピールした。また「素敵な俳優さんに恵まれた」と言う鄭が「池内さんの役は死刑囚ですが、ポジティブな役割を担うことになるので『もっとかわいく』とか『そこはもっと笑かしてくれ』みたいな無茶ぶりにいろいろ応えてもらいました。平田さんにも無茶ぶりしましたが、真摯に応えてくれて……申し訳ない(笑)」と稽古を振り返ると、池内と平田は口々に「楽しいですよ!」と鄭に笑顔を向けた。
最後に池内が「難しい話ではあるんですけど、その中に友情や笑いや涙といろんな要素が詰まっていて、楽しんで観ていただけると思います。絶対に何かメッセージを受け取っていただけると思うので、それを持って帰っていただけたら」と呼びかけ、取材は終了した。
上演時間は休憩含め約2時間45分。また3月14日13:00公演の終演後にはアフタートークが開催され、鄭、池内、平田のほか新国立劇場芸術監督の宮田慶子が登壇する。公演は3月6日から25日まで東京・新国立劇場 小劇場、4月5・6日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、4月11日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、4月15日に福岡・北九州芸術劇場 中劇場で上演される。
高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) @shinorev
高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) @shinorev
『赤道の下のマクベス』④山形大尉役の浅野雅博さんは悪役(?)が素敵!尾上寛之さんのピュアな存在感、看守3人組の軽薄さも良かった。パンフの解説でインド人捕虜への言及があり、ホー・ツーニェン『一頭あるいは数頭のトラ』を思い出した。https://www.tpam.or.jp/program/2018/?program=one-or-several-tigers …
兵庫、豊橋、北九州公演あり。
兵庫、豊橋、北九州公演あり。
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この内閣の一番の悪質さって、森友国有地払い下げそのものや加計認可そのものじゃない。それを誤魔化す手段が国を壊すってところ。しかもそれが天然、何が悪いか分かってない。閣僚が答弁するたびに国を破壊していくってすごくない?
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プランニング企画さんがköttur-lover22㌠をリツイートしました
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なんか根本的に勘違いしてますそれ。政府与党側の不誠実な議事運営や答弁てのはそれそのものが暴力なんすよ。すでに。https://twitter.com/kottur_lover22/status/984079865866366977 …
心にひっかかっていたことを、いつか書きたいと思っていた
――本作は、もともと2010年に韓国で、現地の劇団のために書き下ろした作品と伺いました。そして今回、日本版として大幅改訂をされたそうですが、手を加えたいと思ったのは何故ですか?
鄭:韓国の劇団のために書いた脚本では、初めに「現代」があり、チャンギ刑務所で奇跡的に生き残った人が「過去」の話をします。そして「過去」の刑務所の話になり、その二つの時代を同時進行させて進めていく物語にしていたんです。「現代」のシーンでは、泰緬(たいめん)鉄道、別名「死の鉄道」と呼ばれていたタイとビルマ(ミャンマー)を結ぶ鉄道を、戦争中に日本軍が多くの捕虜や東南アジアの人を借り出して短期間で建設し、その過酷な建設作業で大量の死者を出した……という説明を入れていました。今回は「過去」だけの物語にしています。日本の方にはそれを殊更に言わなくても「過去」の話だけでこの物語の「真意」をわかってくださるだろう、そしてお客様に物語の「感じ方」を委ねることにしたんです。
――今まで新国立劇場で上演された『たとえば野に咲く花のように』『パーマ屋スミレ』『焼肉ドラゴン』そして先日まで東京芸術劇場プレイハウス他で上演された『すべては四月のために』が家族や家族に近い周囲の人たちという近しい人間関係の中で起きる物語を描いてきましたが、それらと比較すると、この作品は少し特殊な人間関係の中に置かれていますよね。こういう内容の作品を書こうと思ったきっかけは?
鄭:2006年、韓国ではBC級戦犯だった方も戦争の被害者だと認められたんですが、それまでは親日派、つまり戦争中に日本に協力した人ということで迫害されていたんです。例えば父親の葬儀にそういう立場の子どもが行こうとしたら「帰ってくれ」と親族に断られたり。だから夜中に日本から母国に入り、深夜にこっそりお参りしてそのまま日本に戻ったとか、そういう話がたくさんあるんです。僕の父もかつて日本の憲兵だったので、やはり迫害対象となり、50年以上母国に帰っていませんでした。そういったことがずっと心にひっかかっていて、いつか(脚本に)書きたいと思っていたんです。
僕がいつも書き続けているのは、歴史に翻弄され、歴史の渦の中に消えてしまいそうな人たち。でもそんな人たちもそこで「生きていた」訳です。そのことを戯曲として書き、それを役者の方々に演じていただくことで「記録」として残し、それがお客様の胸に「想い」として残ってほしいと思っているんです。
僕は僕の作品を観終わったお客様には絶望ではなく小さくでもいいので希望を見せたいと思っています。どんなに過酷な状況下で生きていたとしても、明日はきっといいことがあるに違いない。いつか光が見える。今回作品に手を加えたのも、その出口につなげたいという思いからなんです。
――そんな並々ならぬ思いが込められた本作ですが、演じる側である池内さんと平田さんは脚本を読んでみてどのような印象を感じましたか?
池内:僕自身はこのような史実を知らず、恥ずかしく感じました。それと共に自分の勉強不足を指摘されたようでした。これは他人事じゃないな、と。もどかしさ、やるせなさ、モヤモヤが心にたまってしまい、それをどう出せばいいのかわからない気持ちになりました。僕が演じるナムソンは強い芯を持つ人。僕だったらもう泣きじゃくって耐えられないと思うんです。でもナムソンはもっと強くて「今を生きる」ことを大事にする人だったので、この役を自分がやることで自分自身も何か成長できるのでは?と思いました。
平田:刑務所の中だけで展開される話で、全員が死刑囚というすごい状況。その中でも朝鮮半島の人々-当時は日本の領土だったのですが、その人たちと、日本人と、刑務所から解放されたと思ったのにまた戻ってきてしまった人などが一緒の監獄にいるという、不条理極まりない環境です。これは役者としても大丈夫か?できるか?という思いがあり、またこの作品をご覧になるお客様にもどう受け止めていただけるか、と思いましたね。
……と思いつつも、刑務所の中だけで考えると彼らは非常に人間味あふれる人たち。一人として偉そうな人がいないんですよ。A級戦犯ではなくBC級戦犯ですから。そのあたりに自分は共感できたんです。そこでもがきあがいている人たちの姿に僕は胸を打たれ、そういうところを素直に演じられたらいいなと思っています。
――確かに、鄭さんの作品は特権階級的な人物が出てこないですよね。少し立場が上であったとしてもかなり身近な存在だったり。
平田:そう。僕が演じる黒田は、50代で戦争に行っていてしかも偉くもない人。僕なんかが戦争に行っていいのかなって最初は思いました(笑)。でも皆が皆、純粋な若者ばかりでなく、酸いも甘いも知ったようなおじさんが混じるのはおもしろいですね。そういうおじさんやお父さんの役ならやりがいがあるかな、って。僕は庶民しかできない役者なんです。小さい人物しかできないんですよ(笑)。
そして僕は戦争とは、正義とは、って大上段に振りかざす話が苦手なんです。声高な戦争反対とかではなく、鄭さんの作品に出てくるごく普通の人の生き方から、現代の人が共感できるものが自分にもお客さんにも見つかればいいなと思います。
歴史ってこちらの側からみたらこう、逆側から見たらこうって事実が何通りにもなる。でも限りある命の中でどう自分の運命と向かい合って立ち向かっていたか。その中で戦争や命の意味を考えていただきたいですね。
――お二人にとって、鄭さんの作品の魅力と聴かれたらどう答えますか?
平田:いつも優しさを感じます。今回の作品もむさ苦しい男たちばかり出てくるのに、どこかポエティック、詩的なんです。そして極限の状況にあっても人間が本来持っている美しさを感じさせてくれます。
池内:『すべての四月のために』を拝見したんですが、厳しい環境下でも、人々が明るく生きている様を観て、その姿がとても美しいって感じました。自分ももっとちゃんと生きなければと思ったくらいです。
――池内さんは『赤道の下のマクベス』の脚本を読んていて、途中から号泣してしまったと聞いたんですが。
池内:そうなんですよ。確か「僕が死んでもこの星空は輝いているんだろうなあ」っていう台詞のあたりだったと思います。僕が死んでも他の人は普通に生きている……って感じたんですが、その時に何かこうじわーっと胸が熱くなってしまって、そこからはもう駄目でした。あんなに明るく振舞っていた人が……って思うとつらかったですし。思い出して今もまた泣きそうになっちゃいます(苦笑)。でも演じる側としては泣いたらいけないんですよ。この場面は強くさらっと言い切ってしまわないと。
――台本を読むだけで泣けてしまう場面を演じなければならないって俳優ならではの苦しみですね。自分自身との闘いというか。ところで、鄭さんはこのお二人とはどのような関係だったのでしょうか?
鄭:もちろん二人とも昔から知ってます。平田さんに至っては僕の憧れの存在だったんですよ。映像作品も舞台も拝見していたので、いつかご一緒できたらと思いつつ、平田さんはいつもお忙しいのでまだまだ遠いなあ、って。池内さんもいつか一緒にやりたいと思っていた一人なんです。
――ならば、お二人に出演をお願いしたときに、何か役作りなどでこうしてほしい、とかお話されたりしたのですか?
鄭:いやもう「自由にどうぞ」でした。むしろどう作品に絡んでくれるんだろうか、と、そういう点を見てみたいと思っています。二人は役柄としては他人ですが、やがて親子のような関係になっていくので。でも、もうこの二人で大丈夫だなって思っています。
池内:この作品自体に関われるのが本当に嬉しいですね。またこの役が僕とかけ離れた存在なので、そこは稽古でどんどん詰めていこうと思っています。鄭さんにビシビシやっていただいて(笑)。
平田:僕もこうやって正面から向き合って芝居ができる機会をいただけたことが嬉しいです。この作品に出会えてよかったなあ。脚本を最初に読んだ時、罪の意識を抱えた男と言う点に惹かれました。上から言われたままにやったのに、何故自分が死刑を宣告されているのだろうか?でも自分も100%被害者ではなく、何かしら加担しており、罪を感じる行為をしている。正義の味方でも、殉教者でもなく、普通の人が普通に関わってこの刑務所にいるだけなんです。でも誰だって罪の意識、恥の意識の一つはあるでしょう。黒田は単なる被害者ではない複雑な立場にあるって点に心惹かれ、ぜひとも演じてみたいと思いました。さて、それをこれからどう表現するんだろう、と言う点については、池内くん同様、僕も稽古で形を作っていこうと思います。
池内:僕の役もまさに被害者であり、加害者でもある立場。でもやってしまったことへの意識は持っていて、一方で被害者としての意識も持っている。でも僕らとは違って被害者としての意識しか持ってない人もいるんです。
平田:いろいろな立場の人が一緒の刑務所にいるんだよね。
今晩、教育テレビで2008年の演劇賞を総なめにした日韓共同制の「焼き肉ドラゴン」が放送されます。ぜひご覧ください。わかりやすくて感動します。
こちらにテレビで見たこの舞台の感想があります。 http://blogs.yahoo.co.jp/shishi5235/27681142.html |