れいわ・安冨歩候補が「子どもを守ろう」とだけ演説する理由
れいわ・安冨歩候補が「子どもを守ろう」とだけ演説する理由2019.07.13
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「女性装」の東大教授がれいわ新選組から立候補エリートコースを歩んだ安冨氏、自身は「虐待のサバイバー」「私は名前を『あゆむ』から『あゆみ』に変えました。変えたら、名前を呼ばれてもドキッとしなくなりました。なんでドキッとしないのかなと思ったら、『あゆむ』が母親に叱られる名前だったことに気がつきました。 親とは10数年前、妻と離婚しようとする時に母親が猛烈に妨害してきたので、弟経由で『もう連絡してくんな』と言ったら、それっきりうちの親は連絡してこないんですね。 なので、振り切っていたつもりでいたんですけれども、名前を呼ばれるだけでドキッとしてしまう。本当に驚きました。子どもの虐待は、ふつうに虐待と思っているようなものだけではありません。私の両親は私を立派に育てました。 京都大学に入って、住友銀行に入って、大学院に入って博士号を取って、東大の教授になるエリートコースに入ったんですが、その私は虐待のサバイバーだと思っています。 京都大学に合格した時も、東大に職を得た時も、私はこれっぽっちもうれしくなかったんです。そういった時、いつも私はホッとしていました。成功する人間というのは、そういう人間です。『成果を上げなければ、生きてる値打ちなんかない』って心の底から思ってるから、成果を挙げられます。東大や京大に合格するような勉強のために青春を捧げるのは、まともな人間には無理です。『合格しなかったら死ぬ』って思ってるから合格するんです。そんなふうに子どもを育てるのは虐待です」 誰もがうらやむような“エリートコース”を歩んできた安冨氏。1997年に出版した『「満洲国」の金融』(創文社)では、日本経済新聞経済図書文化賞を受賞してもいる。しかし、それは「成果を出せなければ、生きている価値がない」と思わされていたからだという。 現代ビジネスのインタビューでは、親から受けた無言のプレッシャーについて語っている。子どもに過剰な期待をし、「いい大学に行かなければ」「大手企業に就職しなければ」と思わせるのもれっきとした虐待だと安冨氏は主張する。
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「この国を主導する学歴エリートは、おびえている」 それは安冨氏だけの話ではない。一流大学に進学し、官僚や大手企業の社員になるような学歴エリートは、みなそうしたメンタリティを植え付けられているという。 「この国は、学歴エリートによって主導されています。私たちエリートはおびえています。誰かに何かを言われるんじゃないかと。とくに、自分に力を振るうことのできる人に叱られるのにおびえています。 50何歳にもなっても、親と縁を切って10年以上も経っているのに、東大教授で有名人なのに、『あゆむ』という名前を呼ばれただけで私はおびえるんです。子どもを守るというのは、私のような人間を作らないということです。そんな人間に社会を主導させたら、どうなるか想像してください。 なぜエリートは、原子力発電所のような、最初から安全に運営することなど不可能なシステムを安全に運営できると信じられるのか。彼らは偉い人に叱られるのが怖いので、そう信じられるんです。そういう人々にこの国を任せてはいけません。おびえない人に任せないとダメなんです」 エリートたちは、子どもの頃から自分より強い立場の人間と戦う勇気を育まれず、不当なことでも黙って従う大人になってしまう。原発を平然と推進できる「エリート」の官僚も、結局は上司が怖いだけの存在だ。そう、安冨氏は説いている。 そうした人々に国の重要な決定を任せてはいけないという。 「自分自身が自分自身であるということを受け入れてる人、自分がおかしいと思ったら、おかしいと思える人。そういう人にしか重要な決定を任せてはいけません。 安倍さんは学歴エリートではないです。だけど、彼はもっとすごいエリートの家の出身です。そういう人々もおびえています。お母さんに叱られるのにおびえています。おじいさんの夢を実現できないと叱られるから。 恐怖にかられて決定を下す人に社会を任せれば、社会は滅亡に向かいます。私たちが必要としているのは、おびえない、やさしい、強い心を持った人々です」
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