西さんからのメール、表現の不自由展中止について考えたこと
みなさま 西英子です。
おかわりありませんか。
私は足の親指がはれて、外出できない日が多いです。
そのため「週刊金曜日」に投稿しています。読んでいただければ
うれしいです。
8/30号 論争 「『表現の不自由展』・その後」の展示中止は
『表現の自由』を抑圧」
8/16号 投書 「戦争が日常だった子どもの思い」
〇 8月24日 『不自由展を再開せよ!』の集会とデモ
”見たかったのに”という人たちが220人集まりました。
慰安婦を表現した少女像を出展した韓国人彫刻家のキム・ソギヨン
さんと夫のキム・ウンソンさんも参加。「表現の自由があって民主主義
が完成する。平和の道を開いていくために展示した。声を上げてガン
バッテいきましょう」と韓国語で呼びかけられました。
少女像には戦争に対する謝罪と反省と、韓国の中で起きた差別への
反省という二つのテーマをこめたと説明されました。
日本政府は朝鮮半島を植民地支配して、日本の侵略戦
戦争のために朝鮮人の13才くらいの少女を日本軍が戦場に強制連行して、
というテーマが一つです。
日本の敗戦後祖国に帰った少女たちは、慰安婦に強制されたことが
理解されず「姓奴隷」だったとていたと蔑視され排斥されました。この
韓国社会への批判のメーセージもこの少女像にこめられているテーマ
のひとつです。
集会で私はチマチョゴリを着て、二つ並べた木の椅子に座りま
した。もう一つの椅子に妻のキム・ソギョンさんが座り、私を
強く抱きしめました。
私は日本語で「あの少女像は名古屋の美術館にずっと常設して
ほしい」といいましたが、伝わらなかったようです。
私は一日も早く再開してほしい。
「平和の少女像」にあいたい。そして横の椅子に座りたいです。
〇 津田大介さん苦悩
展示中止後、1ヵ月に「なります。なんとしても 再開してほしいが・・・・。
どうなるのでしょうか?ガソリン缶をもっていくと脅した犯人は8月7日に
捕まったが、2通とどいたファックスは同一人物からのものらしい。
しかし、幼稚園や小学校にガソリンをまくとメールで予告した犯人は
まだ逮捕されていないようです。25名の死者が出た京都アニメの
ガソリン放火事件が、トレンナーレで起きたらどうなるか。
芸術監督の津田大介さんはすごく悩んでいます。
「僕がもし『再開する』意志をほのめかしたら、その瞬間に攻撃が再開
・拡大されてしまう状況だったからです。僕たちは元々、75日間ずっと
展示し続けることを目標にしていました」
「トリエンナーレの芸術監督は表現を守る責任者であると同時に、
管理・運営の責任者であります。僕の中では、両者の間でのせめぎあい
がずっとあります」と。
〇 「展示を不自由にしているのは権力よる検閲ですか?」との質問に
津田さんは答ています。
「国家権力が表現の中身に介入するのが、一般的な検閲のイメージで
しかし、僕は、日本で表現の自由を強く脅かすのはむしろ
『集団的な自己検閲』ではないかと考えます。
現場側が忖度をしたり、トラブルを避けたいと考えたりすることで
結果的に特定の政治的な表現が排除されていくような現象です。」
〇 さらに津田さんは答ます。
「準備不足だったことは認めます。ただ、どのように準備すれば可能
だったのか・・・」
「準備などに莫大なコストをかけないと表現ができないということ
の現実は、すでに表現の自由が後退していることを示していると
言えないでしょうか。
以上は朝日新聞8月21日の津田さんのンタービュー記事から紹介
しました。
〇「ガソリン携行缶を持ってお邪魔します」とのファックスをしてき
て逮捕された犯人は59才の男性会社員でした。慰安婦の少女像
に反発していたという。
企画展が開幕した8月1日だけでも、 携帯電話が約200件、
メールでの苦情が約500件と公表されています。(事務局による)
「週刊金曜日」8/23号のアライ=ヒロユキ氏(企画展実行委員)
によると、
苦情電話の5割は少女像、4割は昭和天皇がモチーフの作品。
少女像中心の報道は、メディアの意図的な韓国バッシングの
一環であり、日本の病巣の深さだ」と書かれています。
「戦後日本最大の検閲事件となる」との実行委員会のメンバー
の抗議声明を読んだとき、私は憲法21条(検閲の禁止)までも簡単
に壊されしまう日本の現状に危機感を持たざるをえませんでした。