riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

聖火リレーはナチスの伝統儀式

今週の週刊金曜日を読んでいたら聖火リレーナチスが1936年のベルリン五輪で発明したオリンピックの伝統儀式と、驚愕

調べると出てきました

「(日本は)ナチスによって始められた五輪の祭壇の儀式によって、公衆衛生を犠牲にするリスクを冒している。聖火リレーの火は消されるべきだ」

と訴えたのだった。

   米NBCテレビは、森喜朗・前組織委会長の「女性差別」発言の時も、ホームページ上に厳しく糾弾する意見記事を発表した。筆者も同じボイコフ氏だった。その直後に、それまで森発言を容認していたIOCが批判に転じて、結果的に森喜朗氏の退陣につながった経緯がある。今回のNBCテレビの記事はどういう狙いがあり、どんな影響を及ぼすのだろうか。

(福田和郎)

 

NBCのホームページの載った「聖火リレーの火を消すべきだ」という意見記事(3月25日付)

 

 

  「何が何でも東京五輪はやる!」という菅義偉政権の強引な決意の表れか――。

   新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まらないなか、2021年3月25日、東京五輪聖火リレーが始まった。

   「復興五輪」のスローガンのもと、福島県からスタートしたリレーは観客が殺到して「密」になる場面が見られた。

   一方、五輪最大のスポンサーである米テレビ局からは、

「コロナをまき散らす、ナチスのようなイベントはやめろ」

という厳しい「鶴の一声」が発せられた。

   ネット上でも怒りの声が沸騰している。

 

聖火リレーにもスポンサー企業の意向が

   じつは、聖火リレーにはやめるにやめられない事情がある。聖火リレーのスポンサー企業の意向があるからだ。毎日新聞(3月26日付)「スポンサー意向、長期日程を維持」が、その裏事情をこう明かす。

聖火リレー国際オリンピック委員会IOC)の規定で、100日以内と定められている。しかし、東京大会は121日間の日程が認められた。2012年ロンドン五輪の70日、16年リオデジャネイロ五輪の95日と比べると長期に及ぶ。組織委は、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県を重点に回り、全都道府県を通過できるようIOCと交渉した。1年延期で簡素化も検討したが、スポンサーの意向もあり、121日間の日程で全国1741市区町村の約半分にあたる859市区町村を巡る日程を維持した」

   五輪そのもののスポンサー企業とは別に、聖火リレーだけのスポンサー企業も存在する。1984年のロサンゼルス五輪から聖火リレーにもスポンサーがつくようになり、回を追うごとに派手な演出が増えた。2000年シドニー五輪では海中を聖火がリレー、2014年ソチ五輪では聖火をロケットで宇宙にも飛ばした。

   東京五輪聖火リレースポンサーには3ランクあり、最上位には日本コカ・コーラトヨタ自動車日本生命保険、NTTの4社が並ぶ。それぞれ「キミ色で、走れ」(コカ・コーラ)、「動かせミライ! その一歩を、地元から」(トヨタ)、「大切な絆を、つなげよう」(日本生命)、「CONNECTING WITH HOPE ~ひとりひとりの、希望の光をつなぐ」(NTT)などのテーマを掲げ、テレビCMを派手に打っている。3ランクのスポンサーはいずれも全国企業だが、その下には都道府県ごとに多くの地元企業が「聖火リレー応援」に名を連ねている。

   そして、スポンサーが推すランナーたちが、かなりの割合で走る。こうしたスポンサーの意向を無視し、聖火リレーを止めるのは非常に難しいわけだ。

   政府や五輪組織委にとって、聖火リレーのスタートは「何が何でも五輪をやる」という決意の表れだという。朝日新聞(3月26日)「五輪『もうやめることできぬ』政府高官」が、こう伝える。

菅義偉首相は3月25日、記者団に『聖火リレーは大会が近づいてきたことを国民に実感してもらえる貴重な機会だ』と述べた。新型コロナの感染拡大が懸念されるなか、開催に否定的な世論もあるが、政府高官は『開催が前提だ。聖火リレーが始まったら、もうやめることはできない』と、不退転の様相だ」

という。

 

   米NBCの筆者は、米のスポーツ政治学の学者、ジュールズ・ボイコフ氏。元プロのサッカー選手で五輪に参加したこともあり、五輪と政治に関する著作をいくつか出した。ボイコフ氏は、記事の中で、

東京五輪は、福島の復興を示す『復興五輪』とされているが、この地域の多くの人々は、資財が五輪を行う東京へと流れ、そのため福島の復興が遅くなった!!ことを知っており、東京五輪を非難している」

と、「復興五輪」のいかがわしさを指摘。

「最大の問題は、聖火リレーで始まる五輪が、パンデミックを悪化させるかもしれないという不安だ。すべての日本国民が五輪までにワクチン接種を終えることは難しい。五輪組織委は海外観客を認めないと発表したが、何千人もの選手、コーチ、報道関係者がワクチン接種なしで入国することになり、日本の世論は不安になっている」

と述べた。

   さらに、聖火リレーナチスが1936年のベルリン五輪で発明したオリンピックの伝統儀式だとしてこう批判した。

「(日本は)ナチスによって始められた五輪の祭壇の儀式によって、公衆衛生を犠牲にするリスクを冒している。聖火リレーの火は消されるべきだ」

と訴えたのだった。

   米NBCテレビは、森喜朗・前組織委会長の「女性差別」発言の時も、ホームページ上に厳しく糾弾する意見記事を発表した。筆者も同じボイコフ氏だった。その直後に、それまで森発言を容認していたIOCが批判に転じて、結果的に森喜朗氏の退陣につながった経緯がある。今回のNBCテレビの記事はどういう狙いがあり、どんな影響を及ぼすのだろうか。

(福田和郎)

 今夏の開催に中止や延期を求める声が高まるなか、25日からついにはじまった東京五輪聖火リレー。そんななか、米の3大ネットワークのひとつである大手テレビ局NBCが「リレーの聖火を消すべきだ」と題した寄稿文を電子版に掲載し、大きな話題となっている。

 

 寄稿したのは、米五輪代表に選ばれたこともある元プロサッカー選手で、米パシフィック大で政治学を専門とするジュールズ・ボイコフ教授。寄稿文のなかでボイコフ氏は、「新型コロナウイルスパンデミックのさなか、聖火リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している」と批判し、聖火リレー福島県から出発したことについても「この儀式の偽善や害悪、ばかばかしさを際立たせただけでなく、五輪に向けて突き進む日本の問題の縮図でもある」と喝破。さらに「聖火リレーは、福島が復興していない現実を隠蔽するために設計された政治的偽装だ」という地元・福島の抗議者の言葉も紹介した。

 

 また、ボイコフ教授は、日本国内の世論調査では8割の国民が中止や延期を求めていることにも触れ「ワクチン接種は進んでおらず、人々が不安を募らせるのは当然だ」とし、さらには、そもそも聖火リレー自体が五輪をナチスドイツがプロパガンダに利用した1936年のベルリン五輪で、アーリア人の血統を主張する方法として生み出されたものであることにも言及し、「ナチスの宣伝活動に由来するような伝統は廃止されるべきだ」と訴えたのだ。

 

 聖火リレーを「五輪の虚飾」と指摘し、国内でも美談のように取り上げられている「復興五輪」という錦の御旗の本質を見破って「偽善」「害悪」と言い切る──。ようするに、コロナ感染拡大のなかで五輪を強行開催するべく、国民の不安もよそに聖火リレーをおっぱじめたことの滅茶苦茶さは海外にもバレバレだというわけだが、この寄稿文が大きな話題となったのは、掲載したのが東京五輪の米国内向け放映権を独占するNBCだったからだ。

 

 実際、NBCユニバーサル国際オリンピック委員会IOC)は、ソチ五輪から2032年夏季五輪まで、総額にして約120億3000万ドル(約1兆3076億円)もの長期契約を結んでいる。しかも、リオ五輪NBCが得た利益は2億5000万ドル(約262億5000万円)にものぼり、東京五輪のCM枠も2020年3月時点で9割を販売済みで、CM料も過去最高となる12億5000万ドル(約1313億円)を売り上げていたという。

 

 つまり、NBCにしてみれば東京五輪は大きな収入源であり、開催されなくても損失は保険でカバーできるとはいえ、利益はまったく得られなくなってしまうのだ。にもかかわらず、東京五輪の開催に水を差すことになる批判を、こうして堂々と掲載したのである。

 

コカ・コーラTOYOTAのスポンサー企業が列をなし大音量、車上にはマスクなしのDJ

 

 そして、このNBCの報道によって浮き彫りとなったのが、日本国内メディアのだらしなさだ。

 

 実際、テレビのワイドショーは、出発式でおこなわれた公式アンバサダーを務める石原さとみサンドイッチマンの挨拶や、第一走者のなでしこジャパンの様子を伝え、「復興」というテーマを強調。せいぜい「感染防止のために対策が大事」などと言及する程度で、大手新聞も、温度差はあれど、NBCの「リレーの聖火を消すべきだ」というような批判は皆無だった。

 

 だが、25日におこなわれた聖火リレーでは、報じられなかった問題が多々ある。

 

じつは、25日に福島県でおこなわれた聖火リレーをめぐっては、ある投稿がTwitter上で物議を醸していた。それは東京新聞の原田遼記者が個人アカウントで投稿したものだ。

 

〈聖火よりも、ランナーよりも目立ってたのは先導するスポンサー車両のどんちゃん騒ぎ。大音量の音楽を響かせ、踊るわ、グッズを配るわ、マスクをしていないDJがウェウェイ叫ぶわ。どこが復興五輪?どこがウィズコロナ?
車両に隠されランナーが見えるのは少しだけ。〉

 

 実際、この投稿に貼り付けられた動画を見ると、センターラインのない狭い道路にコカ・コーラTOYOTAなどのスポンサー企業による巨大なデコレーショントラックが大音量で音楽を流しながら何台も列をなして通り、トラックの上ではマスクなしのDJが「密を避けながら、密を避けながら、最高の思い出をつくってまいりましょう!」「がんばってくださいね!」などと声を上げていた。それは、「復興」などというテーマが微塵も感じられないどころか、しっかり感染対策がとられているのか甚だ疑問なものだった。

 

 聖火リレーではなく、まさしくスポンサーの広告リレーのためのバカ騒ぎ……。この光景には「こりゃひでぇ」「あまりの酷さにびっくり」「本当に下品。しばらくコカ・コーラは飲みません。オリンピックは企業の利権のためのものなんですね」「密を避けながらと言いつつ、密を助長してるパレード」などのコメントが寄せられ、27日17時現在で1.4万件もリツイートがなされている。
 
 こうした反響を受け、東京新聞はネット版で26日に、この原田記者の沿道取材リポートを掲載。しかもこの記事では、日本コカ・コーラトヨタ自動車日本生命NTTグループといった聖火リレー最上位スポンサーにその演出についてどう考えるのかも取材をおこない、「25日はDJが沿道と十分な距離が取れていると判断してマスクをしていなかったが、沿道の安心を重視し、26日からマスクを着用させている。現時点で批判の意見が届いているかについては答えられない」(日本コカ・コーラ)、「今後批判が届けば、意見として受け止めたい」(トヨタ自動車)などというコメントも載せている。

 

●五輪オフィシャルパートナーの新聞各社は聖火リレーでのスポンサーのバカ騒ぎを報道できず

 

 聖火リレーのスタート時点には記者が集まり、取材をおこなっていたのだから、こうした記事や映像が出て当然だ。しかし、それはまったくといっていいほど報じられなかった。テレビの場合、五輪や聖火リレーの最大手スポンサーはテレビ局にとっても大口のスポンサー企業であり、問題として取り上げることなど不可能だろうが、リベラルな論調の新聞までもが無視したのはどうしてなのか。その答えは簡単で、大手新聞5社は東京五輪のスポンサーであるからだ。

 

 これまで五輪のスポンサーは読売新聞1社が独占契約をおこなう交渉がつづいていたが、そのオフィシャルパートナー契約は少なくとも50億円といわれ、読売単独では巨額すぎた。そのため日本新聞協会がスポンサー契約をする案が浮上したが、計130社が加盟する協会では足並みが揃うことはなかった。そこで新聞各社が個別契約することになり、2016年1月に「オフィシャルパートナー」として朝日新聞日本経済新聞毎日新聞読売新聞東京本社の4社が契約を締結。2018年1月に「オフィシャルサポーター」として産経新聞社、北海道新聞社が新たに契約しているのだ。

 

 言論・メディア企業各社がスポンサーになって、五輪の不祥事や問題点をきちんと報じることができるのか。そうした懸念は当初から指摘されてきたし、実際、大会組織委が報道に“圧力”をかけようとしたこともある。組織委は朝日、日経、毎日、読売の4社と契約した後、中日新聞北海道新聞西日本新聞などのブロック紙と交渉を進めてきたが、そうした最中に中日新聞東京本社が発行する東京新聞は新国立競技場の建設問題をはじめとして五輪絡みの不祥事を追及。そのことに当時の組織委会長の森喜朗氏が立腹し、契約交渉のなかで「東京新聞を外せ」と圧力をかけたのだ。

 

 こうした露骨な圧力を受けたこともあり、中日新聞はスポンサーから撤退したと見られているが、実際に系列の東京新聞だけが、聖火リレーがスポンサー企業のお祭り騒ぎになっていることを記事にし、そのほかの大手紙がスルーしてしまったことを見ても、あきらかにスポンサーであることの悪影響が出ていると言っていいだろう。

 

 放映権を独占していても、きっぱりと聖火リレーの問題点を批判したNBCに対し、国内メディアのこの体たらく……。しかもいまは菅義偉首相の国民の安全を無視したコロナ対応によって再び感染拡大の状況下にある。それでもなおスポンサーとして 「盛り上げ役」を買って出ようと言うのであれば、まずは報道機関の看板を下げるべきだろう。
(野尻民夫)

 

関連記事(外部サイト)