riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">ヴォーリズさんの本『吾が屋の設計』と『吾が家の設備』</span>

ヴォーリズさんの住宅への考え方がよくわかるのが
『吾が屋の設計』『吾が家の設備』
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この表紙の絵もヴォーリズさんが描きました
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この2冊は、まだ、発展途上であった日本の遅れた住環境に対する提言となっています。
『吾が屋の設計』は、1921年(大正10年)、YMCA会館での講演記録を編集したもので、
まず最初に住宅を建てる目的を五つの根本問題として
①保護と安全
②安楽、
③プライバシーと個性の尊重、
④健康、衛生 など
そして何より、家を建てる根本的目的は「子供の健康的で健全な生活にある」という子供を大切に考える住宅論です。
(ヴォーリズさん曰く「鳥は何のために巣をつくるか?子供を育てるためである」)
この2冊は、今、読んでみても大変面白いもので、また参考にもなります。
たとえば・・・↓ 大正時代の住宅論ですが、皆様のお家と比べてみてください。
▼子供部屋
・将来ある大切な子供のために、健康と教育に配慮した間取りをすべきと提案。
教育:子供のおもちゃをしまっておける物置(物入れ)を用意して、遊んだら自分で片づけさせる
健康:、朝日が真っ先に入る南東側の部屋が良い
(日本の家は、たまにしか来ない接客中心にできているが、もっと子供中心にすべきである。)
 
▼寝室
・畳は湿気を吸い、雑菌が入り、カビも付きやすいので、畳に寝るより、ベッドのほうが健康的
・1階よりも湿気も埃も上がらないので、寝室は二階が最適
寝室のそばに必ず浴室とトイレが必要。
・睡眠は非常に大切。穏やかな睡眠がとれるようにベッドも一人一台が望ましい。
 
▼台所
・設計にとりかかるときは、台所から。
台所がうまくできると、その家の価値が上がる。
・台所は、家族全体の健康のカギを握る大事な場所
必要な設備を持ち、能率よく使えるように配置することが大切。
(必要な設備:流し、オーブンレンジ、調理台、食器棚、冷蔵庫、テーブル椅子など)
・台所が広すぎると無駄に動かねばならなくなり・・
  1年に7里ほどの損になる(←ヴォーリズ流のユーモア)
・床は、汚れを落としやすいように、タイルやエナメルを塗った材料を使うとよい。
・場所に余裕があるなら、奥さんの勉強用に机といすを置きたい
 (奥さんへの配慮と、勉強の勧め)
▼食堂
・模範的食堂は東向きで、朝日の入るようにしたい。
・食堂は楽天的の色彩を豊かにして、簡単できれいな花を飾ることが理想
・食堂が理想的にできていたら、たとえ、朝起きて気分が悪く暗い気持でも、この食堂に入るや否やただちに天地一変したかのように心持が良くなり、夫婦げんかも少なくなり、離婚も減るでしょう
・家庭全体温かい気分に満ちたなら、一般人類の生活のために楽しい努力を捧げる力を得ることとなるでしょう

▼居間
 (大正時代、居間=家族のだんらん室という考え方は、まだな   かった)
・台所と寝室があれば、家です。しかし、家とホームは違いま   す。居間ができて、初めてホームの資格ができる。
ホームを完全にするなら、少しでも多く、子供のために特別の設備を考えるべき。
・居間の第一要件は「安楽」ということ。
・飾り物の客間にたくさんのお金をかけることなく、実際に適した居心地の良いリビングルームを作ってほしい。
一家だんらんの楽しい生活ができるように設備したい。
・洋間には、楽器の集団もほしい。ピアノ、蓄音機、楽譜の戸棚も必要。
居間は、家族の中心であり、家庭教育の大事な場所なので他の場所より、左右均斉的で物の調和がとれ、色彩の配合をうまくしなければならない
・居間に入るとホームという感じを強く印象し得るように考えて設備する必要がある

▼女中部屋
・悲しいことに大抵どこでも残りの場所に、雇人を片づける場所を作るというような有様は人道主義の立場からよくない女中さんにも、気持ちの良い安楽な部屋が必要です。部屋の程度が上がる程、それだけ仕事にも役立つ者となる。同じく健康を保護する設備が必要。
ヴォーリズさんの人権尊重の考え方が表れているところ。
人間は神の前に平等であるという考え方と、人は尊重されて初めて自分の価値を自覚し、自分の力を発揮するものであるというヴォーリズ流の哲学


住宅論ではあるが、家庭は「家」ではなく、「家族のだんらんがある温かいホーム」である。それゆえ、家庭はいつも美しく、楽しくあって、子供を大切にし、教育的配慮も十分備えていなければならない。・・とするヴォーリズの家庭論でもある。
★「人間は神の前に平等である」という思想、「家庭全体温かい気分に満ちたなら、一般人類の生活のために、楽しい努力を捧げる力を得ることとなるでしょう。」という言葉にはクリスチャンとしてのヒューマニティが感じられる。
ヴォーリズ建築は、このような彼の持論、キリスト教主義に基づく住居学(&家庭論)のもとに設計されているのが大きな特色であり、この当時の単なる住宅改造論とは思想的に異なる。


*残念ながら、この2冊は名著と言われながらも、大正時代の古い本ゆえ、一般の図書館には置かれていないのが残念です。
でも、この本の後に出版される予定であった『吾が家の生活』が、今月、岡田さんのところから出版されます。さっそく読んで、ご紹介させていただく予定です。



転載元: mimiの日々是好日