riboni5235’s diary

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<span itemprop="headline">小池劇場を貪り尽くすメディア、肝心なニュースは何処にby金平茂紀さん</span>






週刊テレビ評
小池劇場をむさぼり尽くすメディア 沖縄、南スーダン…大事なネタはどこへ=金平茂紀
毎日新聞2016年10月21日 東京夕刊
http://mainichi.jp/articles/20161021/dde/018/070/008000c

 小池劇場とはよく言ったものだ。今、小池百合子東京都知事がテレビに登場しない日はない。築地市場豊洲移転問題と東京五輪の経費縮減問題。この2大テーマだけでも、ニュース満載で、僕らテレビ局は、小池知事を追うため登退庁時を含めて常時カメラを配している。今や安倍晋三首相をしのぐカメラ配置数かもしれない。

 そこで、よく心にとどめておかなければならないのは、小池知事自らが主導権を握って、一連のアクションをテレビカメラの前でほとんど「見せている」ということである。服装も毎日替えている。18日に都庁で行われた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との会談は、当初、冒頭部分のみの撮影と言われていたが、小池知事のたっての要望で、35分間の会談すべてがテレビカメラなど報道陣に全面公開の形で行われた。テレビ各局は生中継で対応していた。まるで米大統領選テレビ討論のようなステージが設定されたのだ。

 これを快挙とみるか軽挙とみるかは意見が分かれるだろう。だが、ここまでやった都知事はいない。かつて猪瀬直樹元知事は、ランニング姿を報道陣に披露したり、地下鉄駅の通称「バカの壁」撤去をアピールしたりしたことがあったが、石原慎太郎元知事は概して報道陣に対して威圧的だったし、舛添要一前知事に至っては、最後はテレビから逃げるようにして退場した。それに比して、現知事のメディアとの「親和性」が群を抜いている。

 身内のことながら、最近のテレビ報道は頼まれてもいないのに「同調圧力」を自ら作りだしているようなところがあって、お客様(視聴者)の受けがよければ、どこもかしこも同じネタに飛びつく。定時ニュースもワイドショーもしかり。

 だが思うのだ。小池劇場の陰で、大事なネタが報じられなくなっていないか。沖縄・高江で起きていること。自衛隊が派遣される南スーダンのリアルな治安状況。国会議員らの白紙領収書問題。熊本地震被災者の今。こどもの貧困。障害者施設襲撃事件の余波。そして何よりも原発再稼働や福島第1原発事故の今。

 米大統領選挙報道で、米テレビがあまりにトランプ候補ばかりを取り上げたことは退廃だとある米ジャーナリストが嘆いていた。ああ、いつだってテレビというやつは、皆が一番群がるメディアスターばかりを飽き飽きするまでむさぼり尽くすのが本能か? 「その答えは、友よ、風に吹かれている」。凡庸なメディアスターと距離を置くボブ・ディランなら、そう歌うかもしれない。(テレビ報道記者)


転載元: 情報収集中&放電中