なかにし礼「天皇と日本国憲法」と玉三郎
こんな題名なので政治の話ばっかりかと思ったら、
映画レミゼラブルを激賞
韓流ブームの仕掛け人、原発さえなければ自死した酪農家などなど
最後には何と玉三郎丈
私が思ってることをさすがの文章で書いてくれています。
玉三郎丈への恋文、ああたまりません。
この世のものではないほどに美しく輝く
前人未踏の境地
もはや人の手の届かぬ所、
その頂点は雲のはるか上にあって仰ぎ見ることさえできない
あなたは酸素の希薄な、純粋透明なところにあって、
孤独に孤高に、姿美しく屹立している。
言葉ではいいつくせないほどの
濃密な確信があって、あなたの魂の中に厳然としてあり
その魂の命じるがままに演じている。
肉体は歌舞伎座にありながら
魂は高所、絶所の高みから、己を見下しつつ叱咤叱責しているのだ
しかしそんなとげとげしさを微塵も感じさせない
中略
日本古来の職人たちが作り上げた「美」を
わが身ににまとってこそ、
玉三郎は美を突き抜けて「神」になるのだ
この時玉三郎は日本の伝統芸術が日に日に廃れていくことを
感じて悲しむ、そしてわが身も我が芸も。
能の観世清和さんの息子自慢を聞いて
「良かった。未来につながる美の回廊ですからね。
ぼくの場合はもう橋掛かりが切れちゃってる」
(後を継げる人などいません!今観なければなりません)
この言葉は坂東玉三郎が空前絶後の存在であることをゆくりもなくも
自証したのではないか
政治的発言もストレートで純粋ななかにしさん、
私はこういう方が大好きです。
政治的な方は優秀なレビューをお読みください。
トップカスタマーレビュー
投稿者 オイラー鏡 投稿日 2014/4/10
形式: 単行本 Amazonで購入
例えばはじめの一章「天皇と日本国憲法」中最後の項目「粉砕された民主主義」の最後尾にある文章が鋭く突き刺さってくる。
「私たち日本人は2013年12月6日、同じ日本人によって「侵攻」されたのである。・・・なのになぜもっと憤怒に燃えた目を国民は見せないのか。」
特定秘密保護法が成立したことへの著者の見解と怒りの言葉である。この強い言葉には心揺さぶられ、穏やかではいられなくなる。
この本は、著者なかにし礼の、戦時に子供時代を送った文化人として多くの体験に基づいた警世の書である。全五章、54項目の記事から成る。
話題が、いずれも著者の仕事等直接関わってきたことに基づいているので、そこから引き出される見解については、シャープに焦点の合った心地よさを感じながら読んだ。
もちろん、話題となっている多くのエピソードそのものも興味深く読むことができる。とりわけ、何度か出てくる「化外」という言葉が心に引っ掛かるのだが、「国」の統治の及ばない、あるいは「世間」からはずれた者たちへのまなざしを感じて心温まる思いがする。
ただ、全体を通して印象深く残るのは、著者の切羽詰まった、現政権に対する強い危機感である。
付記になるが、冒頭に挙げた著者の「国民」に向けられた苛立ちについては、たまたま今日(2014年4月10日)...続きを読む ›
「私たち日本人は2013年12月6日、同じ日本人によって「侵攻」されたのである。・・・なのになぜもっと憤怒に燃えた目を国民は見せないのか。」
特定秘密保護法が成立したことへの著者の見解と怒りの言葉である。この強い言葉には心揺さぶられ、穏やかではいられなくなる。
この本は、著者なかにし礼の、戦時に子供時代を送った文化人として多くの体験に基づいた警世の書である。全五章、54項目の記事から成る。
話題が、いずれも著者の仕事等直接関わってきたことに基づいているので、そこから引き出される見解については、シャープに焦点の合った心地よさを感じながら読んだ。
もちろん、話題となっている多くのエピソードそのものも興味深く読むことができる。とりわけ、何度か出てくる「化外」という言葉が心に引っ掛かるのだが、「国」の統治の及ばない、あるいは「世間」からはずれた者たちへのまなざしを感じて心温まる思いがする。
ただ、全体を通して印象深く残るのは、著者の切羽詰まった、現政権に対する強い危機感である。
付記になるが、冒頭に挙げた著者の「国民」に向けられた苛立ちについては、たまたま今日(2014年4月10日)...続きを読む ›