riboni5235’s diary

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<span itemprop="headline">NHK『あさイチ』の怪/『放射能大丈夫?食卓まるごと大調査』デタラメデータで世論誘導&安全宣言</span>

 
 
NHK総合、朝の人気番組『あさイチ』で「放射能大丈夫?食卓まるごと調査」が放送されたのは10月17日のことです(私は、偶然だったのですが、リアルタイムで見ました)。
福島の2家族を含む全国7家族の一週間分の食事に含まれている放射性セシウムの量を計測(方法は、毎食一人前ずつ多く作ってもらい、それを分析に回す陰膳(かげぜん)法)。結果的には、5家族で一週間の間に1回ずつ5~9ベクレル/kgが検出されたというものです。
当ブログでも、その日にアップした「
低線量内部被ばく/「毎日少しずつ」の恐怖」 で、番組内容に簡単に触れました。

「厳密な検査でも、一部の家庭で微量の放射性セシウムしか出なかった。福島でさえも」という、このレポートの反響は大きく、「これで安心して子供に食事を食べさせられる」といった声が上がりました。

ところが、一方で、「データが変だ」という声も広がりました。当ブログにも、『あさイチ』のデータに関するコメントを頂き、さっそく、NHKのホームページに上がっているデータを見直してみて、ビックリ。
このPDFです。

まず第一の疑問は、7家族7日分=延べ49日分の食事を調べ、5日分から5~9ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されているのですが、5件ともセシウム134かセシウム137のいずれかしか出ていないのです。
福島第1原発からの放出量を見ると、セシウム134(半減期:2年)が1.8京ベクレル、セシウム137(半減期:30年)が1.5京ベクレル(京は兆の1万倍)です。半減期の関係で、セシウム134の方が多少減りが早いのですが、現状では環境中にある福島第1由来のセシウム134とセシウム137は、ほぼ同量と見られます。おまけに、化学的な性質はまったく一緒。比重や融点、沸点なども一緒です。従って、2種類の放射性セシウムは、同じように、一緒に混ざったまま拡散していったと考えるのが妥当です。
下の地図は、文科省が発表した航空機モニタリングのデータです(福島第1の北側30キロ~60キロ圏)。セシウム137とセシウム134の広がり方も土壌への沈着量も、ほぼ同じです。
 
 

 
また、植物にしても、動物にしても、どちらかの放射性セシウムを選んで吸収することはできませんから、両方あれば、両方を吸収。私たちが食べる食品の中に入っていきます。
その証になるのが、食品別に放射性物質の濃度を発表している
食品流通構造改善促進機構のデータです(シイタケなどを見ると分かりやすいです)。2種類の放射性セシウムのうち、片方だけが検出されるのはまれで、ほとんどの場合、両方同時に検出されています。
しかし、『あさイチ』では、5例が5例とも揃って片方だけなのです。これは、検査機器は大丈夫なのか?と疑って当然です。

もう一つの大きな疑問は天然に存在する放射性物質であるカリウム40の値です。延べ49日分のデータは、一日平均で250~470ベクレル/kgの間に入っています。しかし、通常、食品に含まれるカリウム40の濃度を見てみると下の表のようになります。

 
海草類などで高いものがありますが、食品全体を見れば200ベクレル/kgを越えるものはわずかしかありません。特に主食系の穀類では、ここに上げただけでなく、参考にした『家族で語る食卓の放射能汚染』のすべてのデータを見ても中華麺の99ベクレル/kgが最高で、100ベクレル/kgを越えるものはありません。
ところが、『あさイチ』のデータは、49日分すべてが、一日の平均で250ベクレル/kgを越えているのです。主食とおかずをどんな組み合わせにしても、250ベクレル/kg以上は、あり得ません。
番組では、水(おそらく飲料水)と米だけのカリウム40のデータも取っていますが、これらも考えられないような高い数値になっています。
カリウム40のデータも正しいのかどうか、疑わざるを得ないというか、ほぼ間違っているでしょう。

ところが、測定を担当した首都大学東京の福士政広教授もNHKも、「精度の高いゲルマニウム半導体検出器を用い、通常よりも時間をかけて綿密に調べた」と自信満々でした。
しかし、まず不思議なのが、専門家中の専門家であるはずの福士教授が、「セシウム137とセシウム134が一緒に出ない」「カリウム40の値が高すぎる」と疑問に思わなかったのでしょうか?NHKNHKで、多くのスタッフが関わっているはずなのに、誰一人としてその疑問を持たなかったのでしょうか?

あるジャーナリストが、福士研究室に尋ねたところ、「機械の故障等で正確なデータではなく再分析中」という、とんでもない返事が返ってきたようです。故障した機械で取ったデータを全国放送に流すか!それも自信満々で。この記事を見た時、手が震えるような怒りをおぼえました。
 
 
※NHK『放射能大丈夫?食卓まるごと大調査』、デタラメデータで世論誘導&安全宣言
 

NHKは、
ホームページ上で再分析を行っていることを明らかにしています
「調査を担当した首都大学東京と、外部分析機関の協力を得て、データの再検討を行っています。結果が出次第、改めてホームページで公表いたします」と。
番組が大きな反響だったことを考えれば、もし、異なる結果が出た場合は、ホームページでの公表だけでは許されないでしょう。『あさイチ』で再度特集し、正しい情報を伝え直すのが報道機関の役目であり、責任だと考えます。

これは、多くの命に関わる問題なのですから。
 


 
 
NHKの報道(2011年10月17日あさイチ


映像は人の心や判断を決めるのにとても強い力があります。特に、特定の思想で国民を洗脳するときには映像は大変な武器になるので、歴史的にも多くの重要な場面で政治に利用されてきました。日本ではNHKがもっとも歴史も深く強力な映像を提供していますが、NHKはもともと1920年代に誕生したもので、戦後、今の形になっています。
 
NHKの設立の目的はまだ日本が貧困で、情報が極端に少なかったので、全国津々浦々に電波を届けるということでした。もちろん、地上波テレビ、BS、CS、ネット、携帯電話、iPhoneなどができた今日、NHKがその設立の目的を失ったのは明らかですが、一度できた組織は簡単には無くなりません。
 
でも、NHKが「良い番組」を提供してくれれば良いのですが、本来の目的を失った組織が「良い番組」を提供するというのは至難の業で、NHKの番組には理解できないある特徴があります。それは「放送の素人のような内容の番組を作る」ということです。その典型的なものの一つが2011年10月17日の朝に放送された「あさイチ」という番組でした。
 
番組の内容は福島と福島以外のいくつかのご家庭を選び、そこで1週間にわたって食べた食材のベクレル(汚染度)を測定して放送するというもので、放送の結論としては、1)福島の家庭がもっとも食材の汚染がすくなかった、2)気にすると被曝して気にしないと被曝しない、というものでした。
 
・・・・・・・・・
 
この番組は、1)学校で平均値と個別の値の関係を勉強しなかった人、2)因果関係を考えることを知らない人が制作し、3)映像のもつ力を理解していない(もしくは悪意のある)人が指導した、ということになるでしょう。
 
たとえば、3年A組の平均身長が160センチ、3年B組が165センチとします。でも、A組でも背の高い人は180センチあり、B組でも背の低い人は150センチの人もいます。だから、A組から一人だけ、B組から一人だけを選んで写真を示し、「B組は背が低い」と言ったのとおなじなのが今回のNHKの「あさイチ」です。
 
福島から一つ、放射線の無いところから一つの例を出して、結論を出すなど言いようの無いほどひどい番組でした。
 
映像で断面を切り取ることは印象を深くするのに大切ですが、それを示すときには合わせて統計的なデータを示す必要があります。あまりにひどい番組であることはNHKも知っているので、大学の先生を出して「私が先にやりたかった」と言わせるところなど、とても作為的です。このような手法をとれば、集団の一つを選んでなんとでも言えます。
福島の家庭には汚染されていないものを、遠く離れたところのものは福島のものを食べさせたのか、あるいは九州の原発から放射性物質が漏れていると言いたかったのかと考えられます。
 
次に、「因果関係」を当たらなければなりません。つまり、「汚染された畑からとった野菜がなぜ汚染されていないか?」ということです。すでに学問的には「移行率」、つまりどのぐらい汚染されていたらそれが植物にどのぐらい移るかという研究があるのですから、「汚染されている畑でとれた野菜が汚染されず、汚染されていない土地のものが汚染されている」ということはあり得ません。もし、放送があったように福島の野菜から放射性物質が検出されず、汚染されていない地域から検出されたなら、慎重に調べなければなりませんので放送できないはずです。
 
また、映像というものを扱うときには、平均値と個別の値、因果関係などを正確に調べ、さらに映像を見る人に間違った印象を与えないように万全の注意をしなければなりません。これは放送法で3条で、{三  報道は事実をまげないですること}と厳しく定められているからです。私もNHKに出たことがあるのですが、放送の前後にかなり厳しく事実関係を調べ、論理の整合性をあたります。もちろん、この番組もしているでしょうから、意図的であることが判ります。
 
さらに、「気にしていると被曝する」と指定ましたが、このようなことを放送するのはきわめて悪質です。たとえば、台風報道、インフルエンザ報道など危険が迫ってくる場合、「注意すること」が被害を減らすことにつながるからです。これからNHKは台風報道にさいして、「注意しない方が安全です」と言わなければなりません。
 
以上、この放送はまったくひどい放送で、なんの参考にもなりません。NHKが故意に子供に被曝をさせようとしているとしか解釈のしようがありません。またネットなどに出ている説明ではカリウム放射線を小数点8桁ぐらいだすなど、専門家が測定した結果ではないことを示しています。これでNHKに受信料を払えといっても無理というものです。
 
平成23年10月18日)

 


転載元: 原発情報