riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">慰安婦問題を誤解しないために</span>

慰安婦問題を誤解しないために

「いわゆる従軍慰安婦」という言い方をされるようになった「日本軍性奴隷」のことについては

ぼくは日本の主要なメディアにおいて「マトモな解説」に出会ったことはありません

それは「マトモな解説」をして自民党政権から睨まれたら困るから…なのか、それとも

この国の主要なメディアが「日本のメディアである」ことから逃れられないから…なのか、はたまた

ホントにわかってないから…なのかと考えますが、そのいずれであっても

ぼくはそんな「ええ加減な話」はないと思います


メディアというものは「一見」中立公平であるかのように見える…というか、素直にそう感じてる人が多いところ、

メディアは「(中立公正な)解説」を装って日本政府の言い分を巧妙に受け手に擦り込んでますので

それをそのまま受け入れてしまって、この問題に関して

(心情的に)日本政府の言い分に軍配を上げてしまう人がこれまた多いかと思います


なので、ここでぼくがこの問題に関して何かを述べても、「それはアンタの(個人的)意見」と受け止められると、

「個人の意見よりもメディアの解説の方が公平妥当なはず」と考える素直な方々に対して説得力がないと思うので

(従来からの)日本政府の言い分に理があるのか…を考える上で、いくつかの材料を提示したいと思います


ではまず、国連自由権規約委員会が2014年7月に日本政府に出した勧告の内容の一部を見てみましょう
・「戦時中、『慰安婦』に対して日本軍が行った性奴隷あるいはその他の人権侵害に対する
  すべての申し立ては、効果的かつ独立、公平に捜査され、加害者は訴追され、
  有罪であるとわかれば処罰すること。」
・「司法へのアクセスおよび被害者とその家族への完全な被害回復措置」
・「利用可能なすべての証拠の公開」
・「教科書への十分な記述を含む、学生と一般の人々へのこの問題に関する教育」
・「公式な謝罪を表明することおよび締約国(=日本)の責任の公的認知」
・「被害者を侮辱あるいは事件を否定するすべての企みへの非難 のためあらゆる措置をとるべきこと」

次に、これまた国連の人種差別撤廃委員会が2014年8月28日に日本政府に出した勧告には…
生存している「従軍慰安婦」の方々が被る人権侵害は、彼女たちの裁きと賠償を求める権利が完全に実現されない限り止むことがなく、委員会としては多くの「従軍慰安婦」経験者は、主張を認められることも、謝罪されることも、何らかの補償を提供されることもないままであるという点について懸念を表明する

…とあり、さらに、日本政府に対して以下の行動を要請しています
・日本軍による従軍慰安婦の人権侵害についての調査を完了させ、関わる人権侵害の責任を有する存在を
 裁判にかける。
従軍慰安婦問題について、誠意ある心からの謝罪及び生存している全ての元従軍慰安婦の方々あるいは
 その家族に対して十分な補償の提供を含む、包括的、公正で持続的な解決策を遂行する。
従軍慰安婦の存在について否定する、あるいは誹謗中傷するあらゆる試みを糾弾する。

この二つの勧告を読むだけで、日本政府の

慰安婦問題に関しては「解決済み」である

・この問題のゴールポストを動かしてきた(蒸し返してきた)のは韓国の方である

…という言い分が、韓国に…ではなく、国際社会に到底受け入れられていないことがわかると思います


また、この二つの勧告は、日本が元慰安婦の方々に対する事業として行った、

アジア女性基金に基づく償い金支給」を踏まえてのもの…であることを考えれば

(∵日本政府は各委員会において、当然に、そういう反論をしてきたはずですので…)

アジア女性基金」が国連の要求をみたすもの(=勧告の内容を充足させるもの)ではなかった…

ということになりますから、やはりこの問題は「アジア女性基金」でお終いになった話

(=韓国側が納得しなければならなかった話)でもなかった…ということになると思います


…ということで、今までの日本側の措置では、「ぼくが…」ではなくて、「韓国が…」でもなくて

「国際社会(≒国連)が…」納得してなかった…ということになるでしょう



では、今回の「日韓の新たな合意」における日本側の措置が

従来の「アジア女性基金」よりも前に出るものであるのか…と言えば

両者は「ほとんどいっしょ」でありまして、「償い金」の原資が募金から政府予算に変わったくらいです

(日本政府は日本軍性奴隷制度に対する「法的責任」を認めていないので、これは「賠償金」でもないですしね)


そんなことないはず、今回は日本軍の関与を認めたし、謝罪だってするみたいやし…

そない思った方もいるかも知れませんが、

それは従来の「アジア女性基金による償い金」とともに元慰安婦の方々に渡された「総理大臣の手紙」にも

書いてあったことですので、その点に関する前進はまったくありませんでした


…なんて書いても、また信じてもらえないかも知れないので、ここで、小泉首相時代の手紙を紹介しますと…↓
           元慰安婦の方々に対する小泉内閣総理大臣の手紙

拝啓

 このたび、政府と国民が協力して進めている「女性のためのアジア平和国民基金」を通じ、元従軍慰安婦の方々へのわが国の国民的な償いが行われるに際し、私の気持ちを表明させていただきます。

 いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。

 我々は、過去の重みからも未来への責任からも逃げるわけにはまいりません。わが国としては、道義的な責任を痛感しつつ、おわびと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。

 末筆ながら、皆様方のこれからの人生が安らかなものとなりますよう、心からお祈りしております。

敬具
平成13(2001)年
日本国内閣総理大臣 小泉純一郎

日本の総理大臣が元慰安婦の方々に渡した手紙にも「日本軍の関与」と総理大臣の「おわび」は入ってましたので、

そういう点で今回の「従軍慰安婦に関する日韓合意」は

過去に国際社会に受け入れてもらえなかった「アジア女性基金の事業」の焼き直しに過ぎません


このような「合意」をもって「歴史的」と評する日本政府とそれをそのまま報道するメディアは

いったい何を考えてるのか…と、ぼくは素朴に思いますが、

今回、日韓の「合意」の内容が明らかになる前から「合意なら歓迎」という、

わけのわからないメッセージを出してきたアメリカの圧力に韓国政府が負けた…というのが

ぼくの見方でありまして、日本の一部から出ている「日本こそアメリカの圧力に負けた」という見方は

まったく当たってない…と思っています

(そやかて、今回の「合意」は従来の日本の立場からほとんど前に出てませんので…)






※この問題に関して日本政府は従来から「日韓条約で解決済み」という立場を貫いています

しかし、「解決済み」というのは「問題があったけどその問題は解決した」という意味に

受け取るのが素直であるところ

日本軍性奴隷の問題は日韓条約締結時には、日韓両政府ともその存在を認識していなかった…のだから

そんな言い分が通ると考える方がどうかしてる…とぼくは素朴に思います


また、日本政府はこの問題に関して、

そもそも最初から日本には何の責任もなく、ゆえに韓国側になんらの請求権などなかったのだ…とか、

韓国側に(何らかの)請求権はあったけど日韓条約で消滅した…と言ってるわけでもなく

ただ「解決済み」だと言ってその責任を誤魔化してるだけですが、日韓条約で消滅した(≒放棄した)のは

「国家間の請求権」のみでありまして、個人の請求権をも含めて消滅させる…という合意はなされていません

これに関しては、日本の外務省条約局長が1991.8.23に国会で
「~いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます。
 その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」

…と明確に述べているところ、現在、問題になっているのはあくまでも元慰安婦の方々が「個人の権利で」

日本政府へ謝罪と賠償を求めているものでありますから、

これは「日韓条約で解決済み」でも「問題の蒸し返し」でもありません

(韓国政府は、元慰安婦という自国の市民のために日本政府に働きかけてきただけ…で
 政府として国家間の賠償を求めているわけではありませんので…)






従軍慰安婦制度は日本軍が企画立案実行したものであって、民間業者が日本軍に話をもっていったわけではありません

したがって、この制度は日本軍が「関与した」なんていう間接的な関わり方をしたのではなく

日本軍それ自体が主犯(主体)でありますので、「関与」という言葉それ自体が不適当であり

大日本帝国を(形式的には)継承する日本政府に法的責任がないわけがありません


また、日本は今回の合意の順守を韓国政府に求めていくつもりのようですが

総理大臣が元慰安婦の方々に「過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝える」と約束したことを

その後の日本政府がまったく守ってないことを考えると、

「まず、アンタから『言うたことは守ってね』」…という話であろうかと思います





※このたびの「合意」は、元慰安婦の方々が従来から日本政府に求めてきた「謝罪と賠償」の解決策として出てきたもの…

だそうですが、今回の合意では日本政府が従来からの立場を守って

「法的責任を認めず」「賠償金としての金銭は出さない」ことした…にも関わらず

なぜに、韓国政府がこのような内容を「(当事者である)元慰安婦の方々に諮ることもなく」勝手に合意してしまったのか

ぼくにはワケがわかりません


そのワケ…は、多分、「アメリカからの強い圧力」でありましょうが

アメリカというのは「正義」(=この問題に関する合意内容の妥当性)よりも

自国の(軍事的経済的)都合を優先する…というだけの国であり、そのような正義なき国の圧力に負けて

自国の市民の利益を放棄してしまったといえる韓国政府には、ぼくは深く失望しています


しかしながら、ぼくがもっと失望し怒っているのは、

このような「解決策」を韓国側に提示し、アメリカの圧力まで利用してそれを飲ませた日本政府であり

また、このような日本政府のよこしまな願いを聞き入れたアメリカという国であります


転載元: mimiの日々是好日