<span itemprop="headline">ネット世代広がる声 高校紛争</span>
<デモと若者>(上) 高校紛争
◆身近な問題は提起少なく
「高校生への規制だったから、僕らが声を上げるのは当然だった」
七〇年安保闘争と絡めて論じられることも多いが、学校の制服廃止や学費値上げ阻止といった足元の問題を訴える生徒も少なくなかった。実際、旭丘高では生徒からの訴えを受けて事実上、制服を自由化している。
七〇年代前半以降、若者の政治活動は学校や街から消えていく。日米安全保障条約が七〇年に自動延長され、挫折感から一部の先鋭化した組織は対立や抗争を繰り返した。暴力をエスカレートさせる一方で運動から身近な訴えは消え、社会への広がりも失った。
商社を退職後、今は地元自治会役員として古里の街づくりに取り組む飯沼。二〇一五年夏から秋にかけ、久しぶりに若者主体のデモの列に加わった。
一方、教育問題を追う小林の見方は異なる。
「かつては学校単位の運動が主流で、身近な訴えも多かった。しかし今はインターネットで背景の異なる人が集まるため、身近な問題への提起は少ない」
国会前で6日夜、安全保障関連法反対を訴えるティーンズソウルのメンバーら |
文科省は昨年十月、高校生の政治活動を四十六年ぶりに解禁した。今夏から、選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられることへの対応だ。シールズより若い高校生世代が中心の「T-nsSOWL(ティーンズソウル)」も、路上で声を上げ始めた。
四十年以上の時を経て、再び訪れた「政治の季節」。シールズなどのデモ参加者は、七〇年安保のころと違い、いわゆるエリート校や一流大中心ではない。半世紀近くを隔てた若者デモ双方の現場に立った飯沼は、そこに可能性を感じている。
「運動の広がりに必要なのは参加者の多様性。ネットによるつながりを通じ、今の若者たちの間にその多様性が育まれれば」
(文中敬称略)
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