<span itemprop="headline">日本は独立国ではない「平和学の父」ガルトゥング博士が真の独立を提言する</span>
「積極的平和」の提唱者で世界的に「平和学の父」と知られるヨハン・ガルトゥング博士が去年来日した際、意外にも強調していたことが、日本が独立国ではなく、アメリカの占領下にあるという点でした。
安保法案で揺れた去年の夏、横浜大さん橋ホールには、詰めかけた500名の聴衆で熱気に満ちていました。そのうち半数弱が学生ということもあり、博士には、未来に向けたメッセージをお願いしようと「日本は今後どう世界の平和に貢献していくべきなのか?」という講演タイトルにしました。
開始早々、ヨハン・ガルトゥング博士から発せられた言葉で、会場がざわつきました。
日本は今後、世界の平和のためにどういう貢献ができるか、についてお答えしたいと思います。答えは非常に簡単です。失礼ですけど、今の段階では、皆さんは貢献できないと思います。貢献できる事はないと。残念ながらこの段階では、日本はアメリカの指示に従って行動している訳ですから、アメリカが平和に貢献することを望まなければ、貢献できないという事です。今アメリカが望んでいることは、勝利であって平和的に問題を解決することではない。ですから端的に申し上げて、今日本は平和に貢献することはできないと思います。
これで講義は終わりです。お答えできましたから。
独立国ではない日本に何もできることはないというのです。
イベント主催者としてもこの出だしにはドキッとしました。果たして講演を続けてくれるだろうか……。その心配を覆すように、博士はこう続けました。
ですが、質問の仕方を少し変えますと、占領下における日本ではなく、独立した主権のある日本であれば、どんな事ができるか―それはお話できると思います。
これは皆さんよくご存じと思いますが、六本木の一角に大きなビルがあって、その上にはヘリポートもある。(※編注:東京都港区にある赤坂プレスセンターの米軍基地のことと思われる)そのヘリポートという存在から、日本の政策の細かい点に至るまで、日本が占領下にある、いわば独立国ではないという事がお分かりになると思うのです。ですから仮に日本が独立国家になり、主権を持った国になったら、どんな平和貢献ができるか。それを主眼に考えてみたいと思います。
でも、主権のある独立国家に日本がなったとしても、問題はやはりある訳です。例えば、対ロシアとの関係で、北方領土があります。対中国との関係では、尖閣問題もあります。この尖閣問題は、日中だけの問題ではなく、日中に台湾も含めた問題があると。例え日本が独立国家であったとして、朝鮮半島、二つの朝鮮半島の国と竹島問題がある。また、和解しなければならない問題がある。対韓国との関係では、慰安婦問題。対中国では、南京や強制労働の問題。まだ解消されないこれらの問題があるのです。
こうやって始まり、詰めかけた聴衆たちに「積極的平和」に基づく3つの具体的な提案をした後に、日本の真の独立を訴えたのでした。
ある意味ショッキングな出だしから始まった大さん橋ホールでの講演が終わると、拍手喝采で多くの参加者が何かを受け取った様子でした。数々の取材を受けたり、対談したりと大忙しで動きまわった日本滞在日程も、この大さん橋ホールのイベントで最後でした。
ホテルにガルトゥング博士をお連れすると、話があると呼ばれ、色々と話す中で、「もっと議論を深めなければならない。来年また来日しよう」と早速の打診があったのです。正直イベントが終わったばかりで疲れ果ててはいたのですが、確かに議論が足りていないと同意し、「ぜひ企画しましょう」と約束したのでした。
そして約束通り今月5月下旬に再来日が決定しました。以下4点が主な論点となります。
3月に安保法案が施行されました。7月には国政選挙、その後には憲法改正議論が活発化すると思われます。これから日本がどこへ向かうことが、日本や世界の平和につながるのでしょうか?
現在85歳のガルトゥング博士が来日する数少ないチャンスとなります。
5月22日は単独講演。5月24日は伊勢谷友介さん(俳優/映画監督/リバースプロジェクト代表)、奥田愛基さん(SEALDs/ReDEMOS)、谷崎テトラさん(構成作家/音楽プロデューサー)、丹下紘希さん(映像作家/アートディレクター/NOddIN)を交えてのパネルディスカッションもあります。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
転載元: しあわせの青い鳥