riboni5235’s diary

英国庭園、ミュージカルファン、親子・ペアのアメショー3匹と暮らしています.バラ栽培アンティークも大好きです。よろしくお願いします!

<span itemprop="headline">葉山嘉樹と「嗚呼 満蒙開拓団」</span>



夏に観た映画ですが最近ようやく読んだ葉山嘉樹への旅」 と関連しますので御紹介したいと思います。

監督は長大な仁左衛門の記録映画でも有名な羽田氏,尊敬する女性の一人です。


随分前に読んだ暮らしの手帖に満州からようやくの思いで帰国された方が、元関東軍のお偉ら方の家に行ったら、満州から持って帰ったお茶道具が出てきて唖然とした話があった。

偉いさん達はとっくの昔にソ連がせめてくることを知っていて家族と家財道具と共に安全にいち早く帰国出来たのであった!

葉山嘉樹への旅」は奇特な方から送っていただいた本です。
葉山嘉樹は有名なプロレタリア作家なのに知らなかったのです。
小林多喜二も推奨している「海に生くる人々」は、日本プロレタリア文学の傑作。

葉山は今は公園になっている名古屋市内で投獄されていた。

その葉山が転向したとされ、「自らも満州国への開拓団運動に積極的にかかわるようになって何度も渡満し、最終的には開拓村に移住するために1945年6月、娘とともに渡満した。しかし、ソ連軍の満州占領と第二次世界大戦の敗北により日本へ帰国する途中の1945年10月18日、列車内で脳溢血により死去した。」

こういう経歴で忘れられている作家です。
しかし葉山はその当時にスターリンは嫌い、人を殺すから。イギリスもフランスもドイツも、イタリーも嫌い。目的のために手段を選ばないから」と見抜いているのです。

そんな方がなぜ満州開拓団の欺瞞にだまされたのでしょうか。

だまされることの責任 佐高信X魚住昭 の中に伊丹万作の鋭い指摘が載っている。

さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知っている範囲ではおれがだましたのだといった人間はまだ一人もいない。ここらあたりから、もうぽつぽつわからなくなってくる。(中略)
日本人全体が夢中になって互いにだましだまされたりしていたのだろうと思う。

このことは、戦争中の末端行政の現れ方や、新聞報道の愚劣さや、ラジオのばかばかしさや、さては、町会、隣組、警防団、婦人会といったような民間の組織がいかに熱心にかつ自発的にだます側に協力していたかを思い出してみれば直ぐにわかることである。

これは今の小泉に騙された人は耳が痛いのではないでしょうか。



葉山嘉樹の夫人菊枝さんは冷静でおわかりだったのでしょうか、満州には渡りませんでした。
写真は葉山嘉樹文学碑と菊枝夫人(前列中央)94.7.4
その下の写真の男性が葉山と再現された書斎です。




「桜を恋うひと」元少年開拓団だった人が日本政府は嘘が上手いと言ってますが同感です。それは今も。

大陸にわたって弁当の中は石混じりでリンチにもあい、すぐ後悔したそうです。

その本の感想はこちらです。
桜を恋う人 二つの祖国に生きて


作者の渡辺一枝は椎名 誠のお連れ合い。
椎名 さんは本名は渡辺誠。椎名は旧姓で、結婚したときに妻の渡辺一枝の姓に合わせ渡辺姓となった。

「王道楽土」と政府が宣伝し、たきつけて、多くの人に理想郷と思いこませて満州に渡らせました。

豊かな土地が手に入ると、集団でお嫁さんたちも先兵となる少年たちも国家や教師などにより送り込まれました。

でもそこは中国人が暮らしている土地でした。彼らを追い出してそこに開拓団が入植したのです。

映画人間の條件にその村が土塁で囲まれている様子が思い出されます。そううことだったのです。


新藤監督・大竹しのぶ主演の「ふくろう」もブラックユーモア的にこの欺瞞を描いている傑作です。

新藤監督の軍隊生活描いた 陸に上がった軍艦もお勧めです。
陸に上がった軍艦