<span itemprop="headline">「安倍首相は解釈改憲のときに”最高責任者は私だ”と言いましたが、この国の主権はわれわれ国民にあります。我々にこそ、この国が歩む道や方向を決める権利があります」 </span>
<神奈川新聞 カナロコ 時代の正体<下>>
http://www.kanaloco.jp/article/96542/2/
『論理性欠く「平和」』
「会見を聞いていて、妙な気持ちになってしまった」。奥田愛基さん(22)は、むしろ冷ややかに聞いた。
安倍晋三首相は会見で高らかに宣言してみせた。
「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。(中略)いかなる紛争も武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきである」
素晴らしい国じゃないか、と奥田さんは強くうなずく。
一方で同じ口から続けられた言葉に戸惑う。
「私たちのために任務に当たる米軍が攻撃を受けても私たちは日本自身へ攻撃がなければ何もできない、何もしない」「本当にこれで良いのでしょうか」
集団的自衛権の行使に加え、法案は、地理的制限を取り払い、米軍の後方支援として世界中どこへでも自衛隊を派遣できるようにしている。
「平和的に」と言いながら、米軍が世界で展開する戦争を支援すると言う。論理的一貫性を欠いているとしか言いようがない。
言葉の一つ一つを断片的に捉えると納得できる部分もある。だが全体としてみると、一体どういう帰結でそうなるのかさっぱり分からない。
日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。だから法改正するというが、隣国との緊張はかえって一層高まり、硬直状態に陥りかねないのが現実だろう。
それは、一方で重要だと強調した「重要な外交交渉」の効果を失わせることに他ならない。
そもそも「集団的自衛権は持っているが、行使できない」というこれまでの憲法解釈からかけ離れることについて、まったく説明がなかった。
もっともらしいことを言っているが結局、安倍首相は憲法を守るという発想がまるでないのだと、あらためて実感する会見だった。
国会審議の過程で法案修正の考えがあるか、と問われた安倍首相は「政府としては国会審議を通じてこの平和安全法制が必要だということを各議員の皆さまにご理解いただくべく、努力していきたい」と答えた。
つまり国会審議で方針を覆すつもりはないと言っている。
そもそも安倍政権はこれに先立ち、日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定し、米議会での演説では安全保障法制の改定を「この夏までに成就させる」と約束してきた。
国会の意味とは何なのか。この国の民主主義はどうなってしまったのか。
議会制民主主義や立憲主義、それのおおもとの憲法もすっ飛ばして、自らのやりたいことをやり通す。そういう政権だということを露呈しているわけだが、首相にその自覚はあるだろうか。
安倍首相は問われるより先に、法案に疑問を感じる人に対しこう反論した。
「抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。ですから戦争法案などといった無責任なレッテル貼りはまったくの誤りであります。あくまで日本人の命と平和な暮らしを守るため、そのためにあらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うというのが今回の法案です」
丁寧な説明を心掛けると言っておきながら、国民からの異論に対して先回りして反論してみせる。そういう姿勢の政権なのだということを踏まえて、僕らは向き合わなければいけない。
おくだ・あき 明治学院大国際学部4年。2013年に立ち上げた特定秘密保護法に反対する学生団体「SASPL」を基に今月、「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)を発足。
http://www.kanaloco.jp/article/96542/2/
『論理性欠く「平和」』
「会見を聞いていて、妙な気持ちになってしまった」。奥田愛基さん(22)は、むしろ冷ややかに聞いた。
安倍晋三首相は会見で高らかに宣言してみせた。
「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。(中略)いかなる紛争も武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきである」
素晴らしい国じゃないか、と奥田さんは強くうなずく。
一方で同じ口から続けられた言葉に戸惑う。
「私たちのために任務に当たる米軍が攻撃を受けても私たちは日本自身へ攻撃がなければ何もできない、何もしない」「本当にこれで良いのでしょうか」
集団的自衛権の行使に加え、法案は、地理的制限を取り払い、米軍の後方支援として世界中どこへでも自衛隊を派遣できるようにしている。
「平和的に」と言いながら、米軍が世界で展開する戦争を支援すると言う。論理的一貫性を欠いているとしか言いようがない。
言葉の一つ一つを断片的に捉えると納得できる部分もある。だが全体としてみると、一体どういう帰結でそうなるのかさっぱり分からない。
日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。だから法改正するというが、隣国との緊張はかえって一層高まり、硬直状態に陥りかねないのが現実だろう。
それは、一方で重要だと強調した「重要な外交交渉」の効果を失わせることに他ならない。
そもそも「集団的自衛権は持っているが、行使できない」というこれまでの憲法解釈からかけ離れることについて、まったく説明がなかった。
もっともらしいことを言っているが結局、安倍首相は憲法を守るという発想がまるでないのだと、あらためて実感する会見だった。
国会審議の過程で法案修正の考えがあるか、と問われた安倍首相は「政府としては国会審議を通じてこの平和安全法制が必要だということを各議員の皆さまにご理解いただくべく、努力していきたい」と答えた。
つまり国会審議で方針を覆すつもりはないと言っている。
そもそも安倍政権はこれに先立ち、日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定し、米議会での演説では安全保障法制の改定を「この夏までに成就させる」と約束してきた。
国会の意味とは何なのか。この国の民主主義はどうなってしまったのか。
議会制民主主義や立憲主義、それのおおもとの憲法もすっ飛ばして、自らのやりたいことをやり通す。そういう政権だということを露呈しているわけだが、首相にその自覚はあるだろうか。
安倍首相は問われるより先に、法案に疑問を感じる人に対しこう反論した。
「抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。ですから戦争法案などといった無責任なレッテル貼りはまったくの誤りであります。あくまで日本人の命と平和な暮らしを守るため、そのためにあらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うというのが今回の法案です」
丁寧な説明を心掛けると言っておきながら、国民からの異論に対して先回りして反論してみせる。そういう姿勢の政権なのだということを踏まえて、僕らは向き合わなければいけない。
おくだ・あき 明治学院大国際学部4年。2013年に立ち上げた特定秘密保護法に反対する学生団体「SASPL」を基に今月、「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)を発足。
転載元: 幸せの青い鳥