獅子の時代
大河ドラマで1967年(昭和42年)の『三姉妹』以来13年ぶりに、架空の人物が主人公になった。会津藩の下級武士である平沼銑次に菅原文太、薩摩の郷士の苅谷嘉顕に加藤剛が起用された。勝者である薩摩藩の嘉顕と、敗者である会津藩の銑次がそれぞれの生き方を貫いて幕末・明治維新を生き抜く様を描いた。
それまでの大河ドラマとは異なり山田太一によるオリジナル脚本であり、しかも宇崎竜童(ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド)によるロック風のテーマ音楽(NHK交響楽団と同バンドの共演によるクロスオーバー的な楽曲)が使用されるという、極めて斬新な作品だった。物語の大部分が近代というのももちろん初めてである。最高視聴率26.7%、平均視聴率21.0%と当時の大河ドラマの水準としては高い視聴率ではなかったが、パリ万国博覧会、樺戸監獄、秩父事件、自由民権運動など、これまで取り上げられる機会の少なかった出来事が描かれた。
それまでの大河ドラマが中央政権の近くにいる有名武将など傑出した英雄たちのドラマだったのに対し、本作は地方に生きる草の根の庶民(に近い層)にスポットライトが当てられており、歴史に翻弄された人々の裏面史と言える内容になっている。特に、明治維新で“賊軍”の汚名を着た会津藩士の運命を描いている点で、旧来の英雄譚とは明確に一線を画しており、後の『琉球の風』や『炎立つ』、『八重の桜』の先駆と言えるものだった。
映画『仁義なき戦い』シリーズや『トラック野郎』シリーズをヒットさせ、当時の日本映画を代表する俳優の一人であった菅原が、1年拘束される大河ドラマに出演することは、東映にとって興行の柱の一つを失うことであったが、菅原にとっては新たなジャンルに挑戦する作品となった。また鶴田浩二はじめ、山田のドラマ『男たちの旅路』と共通の出演者もいた。
本作以降の歴代大河ドラマは、放送回、総集編ともに、全映像をNHKが保存している(2インチVTRから代わって安価の1インチVTRになったため)。
2012年11月より2013年11月初頭までNHKオンデマンドで本編放送回の配信が行われていた。
「いまの政治はおかしいね」
現在積極的に発言されている文太さんの話に冒頭から引きこまれ、うなずきました。続きはこちらhttp://www.chichibujiken.org/folder8/130.html